第20話:鍵

 バシュッ 

「うッ!」


頸筋くびすじに走った一瞬の痛み。

味方を庇い、零斗の体勢が崩れたところを狙う。ここまでが敵の目論見であった。美鈴を庇い、零斗が見せた隙をつくことで確実に薬品を首に投与する。そして後を追うように、首を起点として全身の熱が急激に上昇していく。


「先輩……先輩ッ!」


ウォズに取り押さえられた美鈴が、必死になって零斗に声をかけている。

その声が零斗の頭の中で何重にも反響する。


「なんだ……何を……射ち込んだ……?」


ドクドクと熱い血流が体を巡り、破裂しそうなほど膨張していく全身の血管。

何かが体の中で暴れ狂い、平衡感覚が揺さぶられるような激しい不快感。

しかし、その中に確かに存在する、言い表しようのない何か別の感覚。


「アレを投与されて、まだ話せるだけの余力があるのですか。流石、紅神の直系は違いますね」

「どう、いう……意味だ……」

「貴方には申し訳ないと思っていますし、そうですね……冥土の土産として、少しだけお答えしましょう」


零斗を無力化したと判断したのだろう。

巌人は零斗に背を向け何かを観察していたようだが、問いかけに関心を持ったのか、体ごと向き直すと言葉をつづけた。


「貴方に打ち込んだのは、強制的に体内へマナを充填し、命素エナを活性化する薬剤です。対象のおよそ97%は、射ち込んで5分もすれば体内の命素エナが暴走し、命を落とします。その際、抗体に近い様相に変容してしまいますが、その頃には自我を失っていますので苦痛はありません」

「はっ……ぐ……!」

「我々が貴方をカギと呼ぶ理由は、直系だけが持つという紅神家の証が、この封印を解除する唯一のカギだからです。ですが、貴方の姉である紅神 綾香は警護が厳重すぎる。そこで、貴方をカギの代用とさせて頂く」


呼吸ができない。

左腕が次第に熱くなっていく。まるで、燃えるようだ。


命素エナを扱える紅神だからこそのカギ。体内の命素エナに反応して現れることは既に調べがついています。ならば、この薬剤の効果で貴方の命素エナを暴走させてやれば、それに反応して刻印は浮かび上がる。―――― このように」


まるで焼きごてを腕に押し付けられているようだ。

そしてそれは、実際の現象として引き起こされた。


零斗の左腕から次第に白煙が立ち上り、炎が噴き出す。

その下から現れた左腕の体表には異常な現象が生じていた。


零斗の左腕に浮き出ている紋様。

それはまるで地獄を書き起こしたかのような、猛火の刻印だった。

そしてその紋様はうっすらと、しかし確実に発光していた。


「これが、紅神の直系が持つといわれる刻印ですか……。紗耶香」

「で、でも……」

「アレを手に入れるためにはどうあっても必要な事だ。彼の犠牲を無駄にしないためにも、早く」


戸惑いながらも、紗耶香は言われた通り制御盤を操作すると、天井付近に設置されたセンサ系が起動し、零斗の左腕に反応する。


《解除コード【煉獄紋れんごくもん】を確認。認証、受諾します》


零斗の刻印を読み取ったセンサは天井の中へと格納され、格子状に張られていたレーザはその姿を消した。

そして、役目を終えたといわんばかりに、物体に突き刺さっていた日本刀はスルリと抜け落ち、トンッ……と音を立てて床に突き刺さる。


ゆっくりと周囲を警戒しながら歩を進め、巌人は日本刀の柄を握る。その恐ろしいまでの切れ味を物語るように、音もなく日本刀を床から引き抜く。


「これが、紅神の秘宝 ―――― 封刃ほうじん迦紅哭かぐな』。これさえあれば……」


黒い柄巻から覗く、赤い鮫皮。金属特有の冷たい光沢を放つ鈍色の鍔。丁子刃に近く、炎を思わせる波紋は見ているものの意識を釘付けにする。

引き抜いた日本刀の刀身を確認し、巌人は零斗に向き直す。


「……謝罪するつもりも、許しを請うつもりもありません。私は、私の大切なもののため、この手を汚します」


巌人は零斗に背を向け、美鈴を捉えたままのウォズに向き直る。


「コッチハ?」

「必要ない。事が済めば、ここは放棄されるはずだ」

「ワカッタ」


ウォズの問いに簡単に答え、回収した封具と共にその場を後にしようとする。

その時だった。


「ふむ、大体の事情はわかった」

「―――― ッ!?」


微かに聞こえた風斬音に反応し、上体を素早く横に躱す。

その間際、薄く鋭い物体が高速で目の前を通過していくのが分かった。攻撃をかわした直後、数歩分のバックステップを踏んで事態を確認する。そして、それを実行した者は思っていた通りの人物だった。


「バカな……貴様、なぜ動ける?」

「こっちも色々と訳ありでな。それよりも、その目。どこか見覚えがあると思ったが、"灰目症はいもくしょう"か。お前らは、人工覚醒者実験の生き残り、で間違いないな?」

「……どうして、それを」

「難しい話じゃない。2年前、極秘裏に軍内部で実行されていた非人道的な人体実験。それをツブしたのは俺だからな」

「なに……!?」

「当時、俺が贔屓にしていた孤児院が怪しい連中に目を付けられたことがあってな。後ろで糸を引いている組織について調べたら、実験用の被検体をかき集めている軍部の人間に行き当たった。んで、また余計なことをされては堪らんので、きれいサッパリ片付けさせてもらった」


僅かに呼吸が乱れつつも、ギラつかせた視線をまっすぐ向けてくる。

平静を装っているように見えても、確実に薬剤の影響は出ているのだろう。


「人工……覚醒者?」


その言葉が何を指しているのか分からない美鈴は、その言葉を口にしていた。


「2年前までANA‘sで行われていた、人体実験の事だ」


その問いに答えたのは、零斗だった。


「上位の抗体だけが持つ、マナを消費し発動する超常ちょうじょうの能力。こいつらは、それを人間に移植しようとした実験の被検体だ。当時の実験記録によれば、能力の適合できなかった人間は瞳が灰色に濁り、命を落としたと記録されていたが……生き残りがいたとはな」


美鈴は初め、その言葉の意味を飲み込めなかった。

人体実験など、小説などの世界でした登場しない存在だと思っていたからだ。


「敵を前におしゃべりとは、随分と余裕ですね」

「ちょっと疲れたんでな。回復までの時間稼ぎだ。お前こそ、わざわざ話に付き合う必要なんて無いだろうに」

「気まぐれですよ」


余りにも想定外の出来事に、巌人はうかつな行動をとれないでいた。

抗体同様、能力を獲得した巌人は周囲のマナの様子を少なからず感知できる。


零斗に射ち込んだ薬剤は間違いなく効果を発揮し、今も体内のマナが暴走状態にある。

呼吸も僅かに乱れている。にも拘わらず、彼の肉体が変化する気配はない。


(抗体堕ちもしていない……"力"を制御できているのか?)


射ち込んだ薬物の効果によって、指一本動かすことのできない程の激痛が全身を巡っている筈だ。

なのにこの男は立ち上がり、反撃までしてきた。


その事実が、巌人の脳裏にとある言葉を思い浮かばせる。


「まさか、お前は ―――― 【適合者】か?」

「違っげぇよ。だが不正解という訳でもないな。まったく……こんな胸糞悪いもの射ち込みやがって。最っ低の気分だ」


零斗は美鈴に向き直す。


「先輩……」


封具だとか、人工覚醒者だとか、意味の分からない言葉ばかりだ。

何が起きているのか、状況を呑み込めない美鈴は、不安と驚愕の入り混じった表情を浮かべていた。


「悪いな。後で必ず説明するから、今はそこでジッとしていてくれ」


零斗の後ろから、ウォズの襲い掛かる気配があった。

零斗には何も見えていない。


だが、感覚でわかる。

マナが体に染み込み、命素エナの力を感じる。

制御しきれず、彼らから垂れ流しになっているマナを感じ取ることで、正確にその位置と動きを把握していた。


故に、背後から奇襲を受けたとしても、焦りはしない。


「話の途中に、行儀が悪いな」

「ッ!? ウォズ、やめろ!!」


巌人の制止する声が響く。

だが、もう遅い。


ウォズの攻撃をかいくぐり、その背後をとる。

そしてそのまま、右手に構えた刀の峰を肩に乗せ、上段から一気に振り下ろす。


 パチンッ


何かを弾くような音が聞こえたが、構わない。

放たれた超高速の袈裟斬りはウォズの右肩から左わきに抜け、その体を両断する、はずだった。


 カキュィイイ――――……ンン 


振りぬいた零斗の刃が切り裂いたのは、先ほど零斗に薬剤を投与する際に使用した注射器。

刃が到達する直前に、目の前にあったはずのウォズの姿を見失った。そのことを認識した瞬間、直ぐに前方への集中を全方位に散らし、状況を確認する。


「なるほど、そういう事か」


零斗から少し離れた巌人の元にウォズが居る。

そしてウォズが居た場所には、零斗に使われた注射器が転がっていた。まるで、ウォズと注射器が入れ替わったかのように。


「空間転移……実験で獲得した能力か。あの実験は結局、失敗したものとばかり思っていたが、それなりの成果は出ていたらしいな」


美鈴の銃を奪った時とは違い、巌人の呼吸は荒く、肩は激しく上下している。

能力の発動には条件があるのか、はたまた生物の転移にはより多くのエネルギーを必要とするのか。

だとしても、もはや零斗にとってどうでも良いことであった。


「さて、もういいか? これ以上、下らない茶番に付き合うつもりはない」


最低の気分だった。

体内で暴れるマナの力。手に握りしめた、刀の重みと感触。周囲に立ち込めた、人の血の匂い。


あの時に、少しだけ似ている。

それだけで、全身の感覚が泡立って落ち着かない。


「本当に、最低の気分だ」


その瞳は命を映していなかった。

刈り取るべき、切り伏せるべき対象として認識した目。まるで波紋の立たない水面のように、ゾッとするほどに静かで、冷たい表情。


(先輩の目。平馬達を追い詰めた時と、同じ ――――)


おそらく、今の零斗は一切の容赦なく、敵と認識したものすべてを切り捨てるだろう。

ならばその対象に、紗耶香は含まれているのだろうか?


その考えが浮かべた瞬間、美鈴の背中を何か冷たいものの伝う感覚があった。

きっとそれは警鐘だ。このままでは、紗耶香も危ない、と。


「先ぱ ―――― !」

「調子に乗るな!」


美鈴の声を、巌人の怒号がかき消した。

ウォズを傍らによけて立ち上がると、その右手にはアサルトナイフが握られていた。


タイミングを計るようにナイフを揺らし、一瞬の間に零斗との距離を詰める。

そのことを予測していたのか、右腕に握った刀で右切り上げを放つが、巌人はこれをナイフで受けた。

刃渡りの短い分、ナイフと共に腕を大きく動かして攻撃の勢いを受け流す。


刀を振りぬき、体勢が崩れたところを、巌人は狙う。

それに対し、零斗は体勢を変え、空気を切る様に蹴りを放つ。蹴りはナイフを握る巌人の手を捉え、衝撃でナイフは弾き飛ばされるが、巌人は能力を発動して手元にナイフを戻す。


そこから繰り出す横なぎを、零斗は身を逸らして躱す。

二の矢で放たれた突きを刀で逸らし、蹴りを足で止める。一進一退の攻防。


それをさらに零斗は受ける。

刀身が長く、ナイフよりも小回りが利かないはずの日本刀で、正確に、柔軟にナイフの攻撃を受け流す。


数手ほど打ち合い、巌人は確信した。

この相手は、マナを使った戦闘経験がある、と。

抗体との戦闘を専門としているANA’s隊員であるにも関わらず、これ程の高度な対人戦闘の技術があることもそうだが、そうでなければ説明がつかない。


実験の末に生み出された劇薬の効果に耐え、マナを使用した巌人の攻撃に対応する。そして先ほどの言葉の意味。


『不正解という訳でもない』


その言葉が、巌人の感じていたことを確信へと押し上げた。おそらくこの言葉に嘘はない。目の前の光景が、その根拠だ。


「ウォズ、挟撃するぞ!」


武器による分はこちらが有利にもかかわらず、押し切れない。

一対一では力量差があり過ぎる。事態を打開するには二人掛かりで同時に攻撃をしかけ、隙を見せた瞬間を狙うしかない。そう判断した巌人はウォズと共に左右に展開し零斗に同時に迫る。


「……フン」


左右からの同時攻撃に対し、零斗は刀を持つ右腕を首に巻き付けるように構え、首の後ろまで振りかぶった刀身を足元に向けて振りぬく。振られた刀身は地を砕き、爆ぜるように破片と粉塵をまき散らす。


「くっ!」


飛来するコンクリートの破片により、一瞬にして視界を奪われた巌人とウォズは、かすかにその動きを鈍らせた。


立ち込めた粉塵に動きが見える。

常人の域を超えている二人の視界は、あたりに立ち込めた白い粒子から上方に飛び出す刀の刀身を捉えた。上からの襲撃に備え、重心を後ろに起きつつ迎撃態勢をとる。


そこを零斗は狙う。


「いない!?」


粉塵から飛び出した刀は間違いなく先ほどまで零斗が持っていたもの。

だが、肝心の零斗自身が居なかった。いったいどこへ? そう考えて周囲の策敵を行うが、その時には既に零斗の行動は起きていた。


「ッ!?」


空中に投げた刀に注意を逸らしている隙に、零斗は姿勢を低くしウォズに迫る。

意表を突かれたウォズは意識外から突然現れた零斗に驚きながらも、捉えようと両腕を伸ばす。


「敵ハ、ツブス」


それに対し、零斗も両腕を突き出し、応戦する。

互いに突き出された両腕はガッシリと相手の腕同士で掴み合い、相手と正面から押し合う形となった。


ウォズの常軌を逸した膂力は、戦闘を始めた時に分かっている。

力同士の比べ合いとなれば、ウォズに軍配が上がるはず。

しかし、そうはならなかった。


「引カレ……!?」


力比べに応じたウォズに対し、零斗は逆に自分へと引き寄せるよう腕を引く。

予想とまったく逆向きの力にウォズは姿勢を崩し、前のめりに零斗へ突っ込む。そこへ、零斗の一撃が放たれる。


 ゴキィッ!

「ウガッ!」


掴み合っていることで互いに両腕は使えない。

零斗が放った一撃は、体の勢いをそのまま載せた膝蹴り。強力な衝撃に意識が混濁し、地に落ちるウォズの体。そして計算された軌道を描き、囮となった刀は零斗の元へと落ちてくる。


「すこし大人しくしていろ」


刀を掴み、逆手に持ち替えると、それを上段から一気に振り下ろしてウォズの背中を貫く。左手で刀のかしらを押しこみ、刀身が隠れるほど深々と、ウォズの体ごと地面を穿つ。


「ギャァァアアア ―――― ッ!?」


薬剤の影響で力の増している零斗の一撃は、衝撃と共に地に亀裂を生み、文字通りウォズの体を地に釘付けにした。

再生能力について考慮した結果、ならば行動を縛ることが最適解だと判断した零斗の行動であった。


そして、もう一人も無力化すべく、零斗は巌人へと向かう。少しでも時間を与えれば刀を取り除かれ、ウォズが自由になるからだ。そうはさせない。


「おのれッ!」


最短で迫る零斗に対し、巌人は構えていたナイフを投擲する。

ウォズ同様に、巌人の膂力も常人とは比肩できないほどに強いようだ。


まるで弾丸の様な速度で投擲されたナイフは、瞬きをする間に目前へと迫る。

だが、それについても想定していた零斗はこれに反応し、紙一重でかわす。


若干の勢いはそがれたが、直ぐに姿勢を整え巌人に向かう、その瞬間だった。


 パチンッ

「ん!?」


巌人が指を鳴らすと、先ほどと同じナイフが目の前に現れた。

一本目の影に隠されていたのか?


だが、同時に投げたそぶりは見られなかった。


即座に反応し、ナイフを躱す。

だが、反応が遅れたせいで、零斗の頬をナイフがかすめた。頬につけられた筋から、赤い鮮血が流れ出す。


 パチンッ

(またか!)


躱した瞬間に、再びナイフが現れた。

それも、何もない空間に、だ。目の前のそれを再び零斗は躱し、そして推察する。


(なるほど、器用なことをする。投擲したナイフが躱された瞬間に、座標を入れ替えているのか。ベクトルの大きさ自体は変えることなく方向のみ変えることで、連続投擲に似た状況を再現している)


その推測を元に、零斗は行動を変える。


(なら、ベクトル自体をなくす)


回避することをやめ、目前に迫ったナイフに集中する。

そして、空中でナイフをつかみ取り、無力化を図る。


(よし、これで)


ナイフの持つベクトル自体は消した。

これで空間転移し、ナイフが飛来することはない。

だが、零斗は見落としていた。


握りしめていたはずのナイフの感触が消える。

その事に気づいたとき、巌人は再びナイフを投擲する姿勢にはいっていた。なんてことはない。ナイフの持つエネルギーが消えたなら、手元に戻して再び投擲すればいい。


となると、空中で武器自体を破壊しようとしても無駄だろう。

マナで強化された身体能力をもってすれば、武器を破壊する直前に手元に戻すか、位置をずらされるだろう。そうなれば、体勢の崩れたところを狙われかねない。


再度、零斗に迫るナイフ。

しかし、一度手元に戻したことで到達までの時間に僅かな余裕がある。その間に少しでも距離を詰めようとし……。


「ッ!?」


失敗した。

巌人はナイフを投擲した直後に空間転移させると、ショートカットしたナイフが零斗の目前に出現する。


「チマチマと……ッ」

「はぁ……はぁ……、しぶといッ!」


おそらく能力の使用にはそれなりにマナを消費するのだろう。

先ほどから、巌人の息がどんどん荒くなっていく。


巌人が指を鳴らし、ナイフが転移する。

転移先を捉え、零斗は素早くナイフを躱す。

両者ともに一歩も引かず、均衡は崩れない。


(回避可能な位置に出現することを考慮すると、転移先の座標を正確に把握する必要があるのか。体内に転移されないのは……、命素エナが関係しているのか?)


先ほどから、辛うじてではあるが巌人の攻撃を回避できている。

というのも、転移先の座標から体までに僅かに距離があるからだ。おそらく、転移先を正確に認識しなければ能力はうまく機能しないのだろう。激しい戦闘機動によって、狙いがつけにくいのだ。


そもそも、確実に仕留めるなら敵の体内にナイフを直接送り込むか、転移の効果で重要な体の器官を奪い取ってしまえばいい。

だがそんな気配は感じられない。


おそらく出来ないのだ。

その裏付けという訳ではないが、ウォズの座標を入れ替えた際の巌人の消耗は尋常でなかった。となれば、先ほどから連続使用してる転移との違いは、転移対象が有機物か、無機物かの違い。マナを用いたこの能力に関連しそうな両者の要因の差分は、生物か否か、もっと言えば命素エナの保有量だ。


少々強引な推察であるが、もともと頭で戦うタイプじゃない。

零斗は、己の直感を信じることにした。

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