コミュニケーションは大切です1

用を終えた俺たちはハッセルの街を離れようと門に向かっていた。






「あの、ご主人様。これからダンバに向かわれるんですよね? 馬車などはお使いになられないんですか?」




「ん? あー使わないよ。ちょっとここでは言えないけど、移動手段があるんだ人気がなくなるところまでは歩く事になるけど我慢してね」




「かしこまりました」




リリアは俺たちのことを思って言ってくれたのだろう。俺たちに移動手段があることを知ると素直に聞いてくれた。




門を通る際、今回は何もなく素通りで門を通ることができた。


出る時は何もしないでいいのだろうか?


先程の疑問をリリアに聞いてみることにした。




「ねぇ、さっきの門出る時に何もしなかったけどよかったの?」




「ええ基本的に出る際に何かすることはありません。何かするとしたら有事の際や、町に犯罪者が現れた時など、問題があったときに限られますね。街の中に列を作るのを人は嫌いますからね」




なるほどそう言った感じになっているのか。まぁそもそも日本だと市をまたぐ時に検査なんてないもんな。


この世界では街をまたぐことは地球での国を跨ぐ時の方が近いと思う。




そんな会話をしてようやく丘を越えて森の端にたどり着いた。




「じゃあそろそろ出すよ」




そう言ってパジェロを取り出す。




美由はそそくさと助席に座り、俺も乗り込もうとするがふと後ろを見るとリリアが固まっている。




「な、なんなのでしょうこれは」




「これは車という乗り物だよ。そこが扉にレバーをこんな感じで引くと扉が開くから扉を開けて乗り込んでね」




「かしこまりました」




リリアは震えている手を恐る恐る扉に近づける。


その光景は怖いが好奇心に負けて大きな犬を触ろうとしている子供のようだ。




「大丈夫か?」




「は、はい……。開きました!」




「おぉ」




俺はついつい拍手をする。


とても当たり前のことだが異世界人であるリリアにとっては未知のものだ。


なぜか子供を見守る父親みたいになってしまった。




リリアが乗り込み、扉を閉める。




俺はエンジンを掛けた。




「じゃあ行くよ」




「「はい」」




二人の返事を聞いてパジェロは次の目的地のダンバに向けて走り出した。









ダンバまで後3分の1というところで開けた場所を見つけ、車を止める。


太陽も落ち、あたりは暗くなっている。


街灯もなく、整備されていない道は運転初心者の俺には怖い道だ。




安全のために今日はここで野宿することを決めた。




自衛隊の中から宿営用天幕を取り出す。




6人用として設計されている自衛隊の中でもよくみる天幕だと思う。


これをまず建てることから始めることにした。




「じゃあこの宿営用天幕を建てるんだけど一応二人で建てれるからやってみようか」




そう言って俺はまず二人に怪我防止のために皮手袋を渡す。




「それをつけてまずは展開していこう。急ぐ必要はないからまず部品を並べて付けやすくしようか」




「わかりました」




俺は指示を出していく。




「四方と両出口に柱になる棒を置いて、骨組みの細い棒を左右に3つずつ並べてみよう」




俺の指示したように各場所に置いていく。




「出来ました!」




「次は骨組みを組み合わせながら天幕の屋根部分に通してね。」




美由とリリアが左右の骨組みを合わせていく。




「う、入れ辛いです」




がんばれ!俺は頑張って入れようとしている2人を心で応援する。




「あっ! 入りました」




俺はついつい拍手する。


これで骨組みに天幕の屋根部分も通し終わり、出入口の柱も組み合わせ終わった。




「次は立体にしていくよ。お互い出入口の位置に着いてね。そしたら天幕の屋根部分を持ち上げながら柱を地面に立てていこう。」




「せーの!」




の掛け声で一気に持ち上げる。


重いだろうが二人ともよく持ち上げた。




持ち上げた棒で支えることで天幕は柱で支えられ立体になる。




「後は四隅に柱用の棒を刺して、骨組みと地面の敷物を組み合わせて、最後に杭を打ち込んで紐で調整したら完成だよ。よしちゃっちゃと完成させてご飯にしようね」




「「はい!」」




二人の返事を聞いて俺も作業に加わる。




最後に念のために雨の侵入を防ぐ堀を天幕周りに掘って完成させる。




後は簡易ベットと寝袋を取り出して寝床は完成だ。




電気も欲しいから離れたところに発動発電機を置いて電力も確保する。


このスキルの良いところの一つである燃料問題の解決がある。なぜか燃料を使ってるはずなのに減ることはなく永遠に継ぎ足しされているような感じがなのだ。

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