冒険者ギルドはテンプレを期待しちゃう2
用紙には、名前、年齢、性別の項目のみで想像より簡易的なものだった。
登録用として最低限の情報のみで、余計な詮索されずに身分証を取得できるのは助かる。
記入を終えた用紙を受付嬢に渡す。
「天羅さんと美由さんですね。すぐカードを作成しますのでお待ち下さい」
そう言って記入した用紙を謎の水晶でスキャンするように照らしている。
次にその水晶にカード状のものを当て付ける。
するとカードが光を発して何やら文字が浮かび上がった。
そのカードを受付嬢から手渡された。
「こちらがお二人の冒険者ギルドカードになります。冒険者ギルドやカードについて説明はお聞きになりますか?」
「お願いします」
冒険者ギルドについてが詳しくは分からないからな。
「ではまずこのカードから、このカードは身分証になると同時にギルドで運営される銀行にも登録されます。カード機能に残高が登録されますので、世界中の殆どのお店でカードでのお支払いが可能です。屋台などは使用できない場合が多いですが商会ギルドを挟むお店では基本的に使用できます。」
なるほど、それはかなり便利かも知れないな。
お金も持つだけで重くなるから困るしな。自衛隊スキルでトラックをだし詰め込めば持ち運べるとは思うが、買い物の際に毎回出すわけにはいかないからありがたい。
「次にランクについてです。ランクはGからスタートしてSまで上がります。魔物討伐やクエストをこなす事でランクポイント(RP)が増え、それが一定貯まる事によってランクが上がります。B以上からは試験もありますので頑張ってくださいね」
ランクについてもよくある小説と変わりはないかな。特段意識して上げるつもりもないし、その時になったら自然と上がってくかもな。
「それから本題のクエストは依頼をギルドが受け、それを冒険者がこなす依頼クエスト、魔物を討伐して換金する討伐クエスト、指名を受け依頼をこなす指名依頼クエスト、稀ですが町や国に壊滅的被害が予想される時に出される強制クエストがあります。指名はB以上、強制はC以上になりますね」
何かの小説でD止めしてそういうのを回避するって聞いたことがあるな。確かに面倒かも知れないが指名クエストはともかく強制に関しては参加出来る様にCまではあげてみよう。
「最後にクランの説明をしますね。クランは冒険者が集まったパーティー、それがさらに集まったグループです。クラン自体にクエストが依頼されることもあり、上位クランになればなるだけ高難易度で高収入なクエストが依頼されることが多いです。さらにはクランでないと受けられないクエストもありますからギルドとしても何処かのクランに入ることをお勧めします」
なるほどこの世界ではクラン制も導入しているのか。他は思ったよりも普通だな。
「説明は終わりますが何か質問はありますか?」
「クランは今すぐに入らないといけないのか?」
「いえ、クランは入った方がメリットはありますが、特に入らないと行けないと言う規定はありません。それに中小クランで有れば即入ることが出来ますが上位クランは基本試験などがあるので、冒険者として個人で名を上げてクランに入る方もいらっしゃいますのでご自身の判断にお任せしております。」
「なるほど、美由ちゃんは何か聞いとくことある?」
「いえ特にありません」
と首を横に振る。
「ではお姉さん色々説明ありがとうございます。助かりました」
「いえいえ、これも仕事ですから。ではこれから頑張ってくださいね」
俺たちはカードをしまい、後ろを振り返る。
そう言えば冒険者ギルドっていえば何かテンプレ的イベントなど色々あると思ったんだけどな。
まぁ、実際の冒険なんてそんなものだよな。
そう思いながらギルドを後にしようと歩き出した。
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