初めてのお泊り2

食事を終えた俺たちは部屋に戻ることにする。


その前に女将さんのところに寄ってお湯を貰うことにした。




「女将さん、お湯が欲しんだけど」




「あいよ。部屋に持って行くから部屋に戻ってな」




作業をしている女将さんはそう言って奥へと向かう。


それを見て俺たちも部屋へと戻った。




二人揃って明日の準備と着替えを用意しながらお湯を待つ。




着替えを買わなくて済むのはあのメイドには感謝したい。


それでも美由は女子だから買ってあげたい。




そう思いふけっている時、扉が叩かれた。


扉を開くと、そこにはお湯を樽に入れたラミィがそこに立っていた。




「お兄ちゃんお湯をお持ちしました!」




彼女はニヤニヤしながらお湯を渡してきた。




「これから綺麗にしておたのしみなんですよね!大丈夫ですよ!ここボロいかもですけど意外と防音なんですよ!」




そう言い残して彼女は走り去っていった。


俺は唖然としながら彼女を見送り、ふと思い返したかのように美由の方を振り返る。




そんな気はさらさらないんだけど、ラミィの爆弾発言でちょっと気まずくなってしまった。




ここは男の俺が率先して声をかけなきゃ!




「先に使いな。俺は外に出てるから終わったら呼んで」




俺はそう良い、タオルと樽を彼女に渡す。




「ありがとうございます。でも私からで良いんですか?天羅さんの方が運転とかして疲れてませんか?」




気を使い彼女も俺に譲ってくれようとするがそれでも俺は彼女に先にやってもらいたい。




「良いよ、気にしなくて。ゆっくりふきな」




そう言ってそそくさと部屋を出て扉の前で座り込む。




所々聞こえる水の音。今まさに彼女は体を拭いている最中なのだ。


そのことをついつい意識してしまう。




悶々とくり返される脳内再生がさらに俺を刺激した。




煩悩退散、煩悩退散、煩悩退散。


と俺は別のことをする事にした。




考えるのが苦手な俺にとってはこの方法が一番良い。




「朝霧士長、その場に腕立て伏せの姿勢をとれ!」




「1、2」




自ら声を掛けて体勢を作る。




「1! 2! 3! 4!……100!」




連続で100回の腕立てをする。


最後の方は腕の支えが足りなくてプルプルになっていたがなんとか最後までできた。


顔の下には汗で少し濡れている。


汗もしっかりかけて一石二鳥だと感じながら腕立てを終える。


そのタイミングでちょうど美由も扉から出てきた。




「天羅さん何してるんですか?」




なぜか哀れむような目線を向けてくる。




「いや、多少なりともやらないとすぐに衰えちゃうからさ。」




筋トレをすると言ってもいつもは連続100回なんてしないけど今日はついついしてしまった。


完全に筋肉が壊れているのがわかる。




「はぁ、まぁ自衛官だからわかりますけど、ほどほどにしてくださいね。ほら早く済ませちゃってください」




そう言って美由は濡れたタオルを手に俺を引っ張って部屋の中に入れる。




そして俺をベッドの上に座らせると、背中を吹き始めた。




「え?ちょっと悪いよ。こんくらい自分で出来るよ」




「いいえ、これくらいは私がしますよ。これから天羅さんには頑張って貰わないといけないんですから」




俺が自分でするというものの彼女は許さず、そのまま吹き続ける。




腕、首、背中、胸筋、腹筋と上半身を拭き終え、下半身に進んでいく。




足を拭き、後はパンツの下だけになる。




彼女はそのままパンツまで脱がせようとしてきた。


流石に俺は止める。




「ちょっと待って! 流石にここはダメだよ!」




どことは言わないが彼女を止める。




「ダメなんですか?」




と彼女は不服そうにする。




「ダメだよ!まだダメ。」




俺はただダメだと言ったつもりでそう言ったのだが言葉を選び間違えている。




「まだ、ですか。そうですかわかりました」




彼女は急に機嫌を良くしたのか、「いつかは」と言い残して部屋を出ていった。




俺は急いで拭き上げて、彼女を呼んで、その日は速やかに就寝した。

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