第143話 巡り巡って誰かが誰かを幸せにして。
そして、数年後・・・。
柚月「めぐる!!さち!!今日はばぁばの家で大人しく待っててね!!」
五歳になった子供達。
名前は『巡』と『幸』。男の子と女の子の双子。
巡 「お母さん、今日も仕事!?」
柚月「そうだよ。今日は幸が熱あるから巡も保育園はお休みね。」
幸 「お母さん、幸、元気だよ!?」
柚月「うん。でも、お熱があるから今日は休もうね。」
現在、あたしは家を出て家族三人の生活を送っていた。
勿論、実家に甘える事も出来た。でも、『母親としての責任』を感じたかったのと、無事高校を卒業させてくれた親に、これ以上迷惑はかけたくなかった。
・・・まぁ、こうして巡と幸に何かあれば、結局頼ってしまっていて申し訳ない気持ちはある。
母親になって、本当に両親のありがたみが分かる
柚月「お母さん、ごめんね。巡と幸、宜しくお願いします!」
あたしは実家を出て、仕事場へ向かう。
でも、必ずその途中で結芽さん家に寄るのが毎日の日課。
柚月「お邪魔します!!」
結芽「柚月ちゃん、おはよう!あれ?巡と幸は!?」
柚月「幸が熱で・・・お母さんにお願いしました。」
結芽「そう・・・。たまにはあたしも頼ってね!?」
柚月「ありがとうございます!廉に挨拶して仕事行きますね。」
仏壇の前。
あたしは廉の遺影を見ながら線香をあげる。
柚月「廉、今日も頑張って来るね!!」
『行ってきます!!』
結芽さんと廉に声を掛け、職場に到着。
てんやわんやの仕事場に早速あたしは取り掛かった。
『柚月先生来たぁっ!?』『柚月先生ー!遊ぼーっ!!』
息をつく暇もない程慌ただしい日々。
でも、それがとても楽しくて・・・そして、廉の『意志』を繋いで行きたいとあたしが判断した職場・・・。
『保育士』
廉がなりたかった職業に、あたしは資格をとり保育士の免許を取得。
園児「柚月先生!巡君と幸ちゃんは!?」
柚月「今日はお熱でお休みなの。みんなも気を付けてね!?」
園児「ねぇ、先生!?」
柚月「なぁに!?」
園児「どうして巡君と幸ちゃんって名前を付けたの?」
子供は本当に純粋。素直な気持ちをすぐに口にしてくれる。
未来ある子供達。
あたしは真っ直ぐに色々な言葉を教えてあげたい。
・・・廉の代わりに、しっかりと・・・。
柚月「うーんとねー、ちょっと難しい言葉になっちゃうなぁ。」
園児「いいよ!僕大人だから分かる!」
柚月「そっか(笑)あのね・・・」
どうしても付けたかった名前だった。
沢山の出来事があり、沢山の涙を流し・・・
でも、今はこうして幸せを感じられている。
『巡り巡って、誰かが誰かを幸せにして。』
『そして、その幸せは必ず自分に戻ってくる。』
どんなに辛い事があっても、めげそうになってドンゾコニ突き落とされても、人は必ず巡り巡って誰かを幸せにした分、自分に返ってくる。
あたしは、そう信じている。
そこから取った名前だった。
『古川巡』『古川幸』。
きっと、廉がこの世に生きていたとしても、同じ名前を付けたと思う・・・。
柚月「誰かを幸せにすると、その幸せは必ず巡って自分に戻って来るんだよ。そこから名前を付けてあげたの。」
園児「へぇー!!かっこいいね!!」
柚月「だから、みんなも楽しいって笑顔になれる様に、幸せになろうね!!」
園児「うんっ!!頑張る!!」
廉、見てる?
あたしは、毎日バタバタしながらも頑張ってるよ。
お守りの指輪と、ネックレスに掛けられてある廉の指輪に勇気づけられながら・・・。
そして翌日。
あたしは巡と幸を連れてある人に会いに向かった。
柚月「譲さん、来たよ。」
生きる力を教えてくれた人・・・。
頑張る勇気を与えてくれた人・・・。
巡 「誰のお墓なの!?」
柚月「お母さんの大事な先生。」
幸 「どうして死んじゃったの?」
柚月「病気かな。でも、いつでも側にいてくれるんだよ。」
巡 「僕のお父さんも?」
柚月「勿論。ちゃんと巡と幸がいい子でいるか、毎日確認してるんだよー!?」
幸 「幸、ずっといい子でいるーっ!!」
世界一愛してる君へ。
あの日の後悔はずっと拭い去る事が出来ないまま、あたしは今も『あの時、待ち合わせ場所を変えていれば。』
『あの時、待ち合わせをしていなければ。』
と、時折強い自責の念に駆られています。
君の仲間達大地君にまこや光希、菜緒さんに桂太先生。そして、
あたしに結芽さん・・・
七人は今、夢に向かって君の事を胸に留め、己の道にそれぞれの色を彩りを上書きし、苦戦、悩みながらも歩んでいます。
まるで、それは『虹色』の様に・・・。
君が作ってくれた大事な仲間です。
君が残してくれた『宝物』を自分の寿命が来るその時まで。
君に再び逢えるその時まで。
自分の命に変えてでも、守り抜こうと思っています。
必ず、また出逢える事を信じて。この言葉を言わせて下さい
『またね。』
虹色の約束、時を越えて・・・
今、世代を越えて語り継がれていく物語。
完
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