第98話 あの件に関して

柚月「廉・・・。」


廉の真剣な眼差しが、あたしの全てを溶かしていく。

今ならきっと廉と一つになれる気がする。

廉も同じ気持ちだったのか、あたしの制服に手をかけた。


廉 「怖くない?」

柚月「廉なら大丈夫。」

廉 「俺はもうダメみたい。」

柚月「うん。どんな廉でもあたしは・・・」

廉 「俺の息子が起きてくれない。」

柚月「・・・え?」


まさかまさかの息子役立たず事件発生。

「その気」でいるあたしに、「えへへ」と笑いながら自分の股間ビシバシ叩く廉。


柚月「ちょっと(笑)何してんの?」

廉 「あのっ、別にお前が嫌いだからとかじゃなくて!!緊張・・・から・・・。」

柚月「緊張から、何?」

廉 「目を覚ましてくれないんですぅ・・・。」

柚月「あははっ(笑)廉でも緊張とかするの!?なんか可愛いっ!!」

廉 「恥ずかしいみたいで、俺の息子。次!次は必ずシャキーンとなるから!!」

柚月「あたし達らしくていいんじゃない?焦らず、ゆっくり進んで行こうよ。」

廉 「柚月。」

柚月「何?」

廉 「明日学校に行ったら『廉の大きかった』ってだけ・・・」


廉の可愛いプライド。まだ気にしていたのかと思うとおかしくて笑ってしまう。

そして、ここであたしの悪戯な悪魔が廉を襲う。


柚月「見てみなきゃ言えないよ。」

廉 「どう言う事!?」

柚月「制服脱いで。」

廉 「え!!何でっ!?」

柚月「確認する為!!脱がないなら脱がす!」

廉 「いや、ちょっと待って!!せめて電気をっ・・・!!」

柚月「待たん!!早くパンツ脱げ!!」

廉 「ちょっとママーっ!?助けてっ!!」


この後、部屋に駆け付けた結芽さんはあたし達の光景をまじまじと見た後、不敵な笑みを浮かべ、何事も無かったかの様にリビングへと消えていった。


ムードもへったくれもない状態で、もはやプロレスと化していたあたしと廉。勿論、この後も「事を為す」なんて有り得ない話。

まだまだ子供だったあたし達には夢のまた夢・・・。


ただ一つ。


廉の息子が本当に「ちっさ」かったのは、ここだけのお話。

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