第86話 初めてブスの称号を受けた日

大地「廉君、僕とお友達になって!!廉君のお弁当、作って来たんだよね!だから、お昼一緒に食べよ?ね?」

廉 「弁当?俺に?あのさ、俺とお前って今日初めて話したばっかだよな?」

大地「うん!!同じクラスになれて超ラッキーって感じ!!廉君の事、一年の頃からずっと憧れてたんだぁ。あはっ!!」

柚月「何その笑い方。」

大地「あ、ブスはちょっとすっこんでて。」

柚月「はぁっ!?大地君だっけ?それは言い過ぎなんじゃない!?」

まこ「柚月、おはよっ・・・って、どうしたの?」


助っ人参上。

ピリピリモードを早くも察知したまこは、何かを把握しての事だったのか、大地君に詰め寄り、こう言った。


まこ「あんた、このクラスだったの?」

大地「出たっ!陣内まこ!ブスの友達!!」

廉 「陣内、こいつ一体何なの?」

まこ「廉君のファンクラブの一人。」

廉 「は?俺の?何それ。」

まこ「知らなかったの?」

柚月「廉のファンクラブの一人・・・。」

まこ「それで、こいつはその中でも一際有名で・・・」


『廉君を愛してやまない男だよ。』


疑問沢山、質問山積み。

女のあたしから見ても、大地君の廉に対する目つきは確かにうっとりとしていて気味が悪い。


どういう事なのだ?


廉 「俺、帰ろっかな・・・。」

柚月「ダメっ!!」

まこ「大地。廉君と柚月が付き合ってるの知ってるよね?」

大地「知ってるよ。全然不釣り合いだけど。だってイケメンとブスだよ?廉君、目を覚ましてって感じっ!!」

まこ「柚月はブスじゃない。とにかく、二人の邪魔しないで。」

大地「廉君は外見よりも中身タイプなのかなぁ?でも、中身もブスしにか思えないんだけど・・・、ブスの極みってやつ!?」


ブス、ブス、ブス、ブス。

何回ブスを連呼すれば気が済むんだこの図体でか男。

流石のあたしも、今回ばかりは・・・


『売られた喧嘩は買ってやろうではないか』


柚月「廉、可哀想だからお昼位付き合ってあげたら?ま、どうせ激マズ弁当誰おうけど。」

大地「あんたの顔、激ヤバ過ぎてモザイクかかってるけど大丈夫?」

柚月「うわわわ!!ズボンの裾短っ!!ダサっ!!」

廉 「あ、あの柚月さん?」

大地「メイクしてその顔?(笑)福笑いみたぁい!!」

柚月「あのねぇ!!男も女も、大事なのは中身なの。そんな事も分からないの!?幼稚園からやり直せば?」

まこ「・・・柚月(笑)」


クラスメイトが、あたし達の下らない言い合いに何事かと集まり始め、「松澤廉争奪戦」という実に恥ずかしい文字を黒板に書かれてしまった。

劣勢気味だったあたしは、とりあえず頭に思い浮かぶ言葉を大地君に投げつける。


柚月「廉っ!!あたしとこの男、どっちが大事なの!?」

廉 「柚月、落ち着け。みんなが見てるぞ・・・。」

大地「中身が大事?ってことは、自分がブスって認めたぁ!!じゃぁ、たった今からあんたのあだ名は「どブス」ね!!」

柚月「どブスで結構コケコッコー!!」

大地「ダッサ!!あー嫌っ!!この女と会話してるとバカが移る!!」

柚月「ふん!!どブス、バカ、ダサい、三拍子最高!!あんたなんかに廉は渡さないんだからっ!!バーカバーカ!!」

廉 「陣内・・・、俺はどうしたらいいんだ。」

まこ「とりあえず六月まで我慢して・・・。ファイト、廉君。」


この男だけは絶対に許さん。そして、廉も絶対に渡してなるものか。

とてつもなく醜くて、とてつもなく下らない争い。

でも、あたしのプライドに賭けて、必ずやこの男に白旗を挙げさせてやりたい。


そう意気込んだあたしなのであった。

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