第62話 最高の教師

柚月「あたしのせいで桂太先生が・・・、どうしよう廉。」

廉 「俺だって桂君に助けられたんだ。「こんな事で停学になるな」って。」

柚月「こんなに生徒を想いやってくれる教師なんて、桂太先生しかいないよ・・・。」

廉 「実は、今日の遊園地だって桂君が提案した事なんだ。」

柚月「そうなの!?」

廉 「未遂だったにしろ、付いたばかりの傷痕は一人でいればいる程、心を蝕んで闇に落ちるって。」


『だから、その傷痕が少しでも癒える様に、思いっきり羽を伸ばして来い』

『古川は汚れていないって事を、廉の口からちゃんと説明して安心させてやれ』


廉 「そして、「この言葉を古川に伝えて欲しい」って・・・。」


『古川、よく頑張ったな。』


柚月「あたしは、何も頑張ってなんか・・・」

廉 「きっと、もう学校から桂君は姿を消してるはず。」


涙が止まらない。

あたしのした事によって、まこと廉が救われると思っていた。

それなのに、影では桂太先生が処分を受ける事になってしまった。

どうすれば上手く解決出来たのか。

どう行動してれば正解だったのか。

自分の行動で誰かが傷つくなんて、もうしたくない・・・。


廉 「お前は頑張った。大切な親友の為に、そして俺の為に。」

柚月「光希さんもまこも、この事知ってるの?」

廉 「知ってる。お前が昨日の夜寝てる時に、光希君も呼んで全て話し合ったんだ。だから、みんなちゃんと理解してる。」


あたしと廉が乗っていた観覧車が、間もなく一周を終えようとしている。

降り口には、既にまこと光希さんがあたし達を待つ姿が見えた。


廉 「柚月、着いたぞ。」

柚月「うん・・・。」

廉 「柚月。」

柚月「何?」


『俺、全てがわかったよ』

廉が言った台詞はたったこれだけ。


この後、あたし達は迎えに来てくれていた結芽さんの車に乗り、帰路へと進んだ。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る