第50話 新しい朝
結芽「・・・どちら様ですか?」
柚月「結芽さん(笑)おはようございます!廉、いますか?」
結芽「いたっけかな・・・。」
廉 「ふざけんなよ(笑)」
今日は秋晴れ。
こうして、またあたしが廉を迎えに来る日が訪れるなんて何ヶ月ぶりだろう?
そして、久しぶりに会う結芽さん。ちょっと変わっている所が相変わらずのままで・・・。
安心したあたしは、思わず笑みがこぼれた。
柚月「結芽さん。あたし、廉とお付き合いさせて頂く事になりました。」
結芽「・・・何これ。ドッキリ?カメラどこ?」
廉 「んな事するかよ!!」
結芽「だ、だって!!柚月ちゃん急に来なくなったから、てっきり廉に弄ばれて捨てられたのかと・・・。」
廉 「母親の言う言葉じゃねぇな、これは。」
柚月「捨てられてません(笑)」
廉と目が合い、笑い合える。そんな些細な事が、凄く幸せだと思える。
そして、なんだかんだ騒ぎながらも、安心した表情を見せてくれた結芽さんに、あたしは軽く頭を下げた。
柚月「結芽さん、これからも宜しくお願いします。」
結芽「柚月ちゃん。」
柚月「はい?」
結芽「ありがとう・・・。」
廉 「柚月、行くぞ。」
柚月「あ、うん。それじゃぁ結芽さん、行ってきます!」
既に歩き出していた廉に駆け寄り、肩を並べて歩く。
決して高望みなんてしない。
昔より少しだけ前に進めた。それで充分。
柚月「結芽さん、相変わらず元気だね。」
廉 「子供みたいな母親で恥ずかしいです。」
何気なしに後ろを振りかってみると、腕で目を擦りながらあたしと廉に向かって大きく手を振り続けている結芽さんの姿があった。
泣いていたのか・・・確認ができない距離。
きっと、結芽さんは突然としてあたしが来なくなり、かと言って廉本人から聞く事に戸惑いを感じてしまい・・・。
母親として、息子に何も出来ない自分に嫌悪感を抱きながらもずっと心配し、そして不安だったのだろう。
そして、いつか。
あたしも、その気持ちが分かる日が来るのかな・・・。
柚月「ねぇ、廉。」
廉 「ん?」
柚月「今日も好きだからね。」
廉 「どうした急に(笑)」
柚月「あ、そうだ!!」
「まこに報告しなくちゃ」
きっと、喜んでくれるはず・・・。
こうして、学校に到着したあたし達は教室へと入り、あたしはすぐにまこの姿を探した。
柚月「まこ、いない。どこに行ったのかな・・・。」
電話を掛けても、メールをしても返事がない。
一時間目の授業が終わり、下駄箱を覗くとまこのローファーが確かにあった。
校内にいる事を確認したあたしは、まこを探す事にした。
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