第38話 不登校
柚月「まこ!?ちょっと何してんの!!」
まこ「廉君に振られた腹いせに、柚月をいじめるつもり?」
廉 「陣内、やめろ。」
まこ「あんた、柚月に何かしたらただじゃおかないから。」
息が上手く出来ない。
怖い、苦しい、痛い。
このまま、もう逃げ出してしまいたい・・・。
柚月「・・・めて。」
まこ「廉君も、いつまで柚月の気持ちを弄ぶつも・・・」
柚月「やめてっ!!」
もういい。
こんな思いはしたくない。考えたくもない。
諦める。諦めるから・・・。
廉んへの想いを消すから。
だから、もう・・・。
柚月「まこ、ごめん。帰る。」
まこ「え、ちょっと柚月っ・・・。」
柚月「ごめん。」
階段を降り、再び下駄箱へと向かう。
耐えきれない涙と共に、廉への想いも全て流れてしまえばいい。
流れてしまえばいいのに・・・。
廉 「柚月っ!!」
柚月「来ないで!」
廉 「柚月っ、俺はっ・・・」
『あたしにこれ以上関わらないで』
追い掛けて来てくれた廉に対して放った言葉。
でも、この時のあたしに「後悔」と言う思いは無かった。
そして。
この日を境に、あたしは学校へ行くのを辞めた。
柚月「・・・暇だ。」
あの出来事から二週間が経過。
あたしは両親に尻を叩かれつつも、頑として「学校には行かない」と部屋に閉じこもる日々を送っていた。
毎日、何度も来るまこからのLINEも既読すらしない。
まこが家に来ても、「会わない」と言い張る。
正直、まこに対しては申し訳ないと思う気持ちで、何度か制服に着替えた事もあった。でも、
「関わらないで」と、廉に大声で叫び、言い逃げしてしまった事で会わす顔が無いと言うのが最大の原因であった。
柚月「この先、どうしたらいいんだろう・・・。」
時刻はもう正午過ぎ。
パジャマ姿のままベットの上で天井を眺めていると、携帯が鳴った。
柚月「・・・知らない番号。」
鳴っては止み、また鳴っては止み。
いい加減耳障りになって来たあたしは、暇だったという事もあり電話に出でみる事にした。
柚月「もしもし・・・?」
譲 「柚月ちゃん?俺、譲。覚えてる?」
柚月「譲さんっ!?どうしてあたしの番号知ってるんですか?」
譲 「光希経由でまこちゃんから聞いたんだ。ごめんね、勝手に。」
柚月「全然!!大丈夫です。譲さん、元気でしたか?」
譲 「俺?俺は柚月ちゃんと同じで不登校中(笑)」
柚月「・・・もしかして話、聞いたんですか?」
いつも頭の片隅に居た譲さんの存在。
「またね」の魔法が今、こうしてあたしと譲さんを繋いでくれた。
思いがけな電話の相手に興奮したあたしはベットから飛び起き、意味不明ながらも何故か再びベットへダイブした。
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