第5話 確執
廉 「え、何で!?何でいるの?」
柚月「廉、うるさいよっ!」
桂太「古川さんの言う通り。そこのガキんちょ、うるさい」
柚月「え?」
桂太「あれ?名前、古川柚月さんだよね?俺、一応生徒の名前頑張って覚えたつもりなんだけどなぁ?」
まこ「やば。これは惚れる」
廉の驚きに対し、桂太先生はサラリと交わす大人の対応。しかも、生徒のフルネームまでちゃんと覚えているという、まさに用意周到。
案の定、好印象を初っ端から見せつけられてしまい、生徒達は桂太先生に興味深々。
この二人、一体どんな関係なんだろう・・・?
桂太「あ、それじゃぁ、今日は授業じゃなくてお互いを知る時間にしましょう。何か、俺に聞きたい事はありますか?」
廉 「はい、先公」
桂太「はい、却下」
廉 「まだ質問してねーよ!!」
まこ「はい!先生!」
桂太「はい、陣内まこさん」
まこ「すごっ!ちゃんとあたしの名前も覚えてる!」
生徒が次々と手を挙げ、自分の名前を確認して行き、それがまた全問正解という凄まじいゲームと化していた中、廉が急に桂太先生がいる教壇へと向かい出した。
柚月「ちょっと廉!今、授業中だよ!?」
廉 「俺は桂君に聞きたい事が山程あるんだよっ」
柚月「個人的な事なら後にしなよ!」
廉 「聞きたい事、聞いていい時間なんだろ?柚月どけよ」
柚月「廉のそういう短気な所、良くない!!」
廉 「いいからどけって!!」
何とか止めようと、掴んでいた腕を無理矢理解かれたあたしは、その反動で体勢を崩し、床に尻もちをつきそうになった。
まこ「ちょ、柚月危ないっ!」
その時・・・。
桂太「古川さん、大丈夫?」
桂太先生が瞬時にあたしの身体を支え、体勢を整えてくれた。
柚月「せ、先生、すみません。ありがとうございます。」
桂太「廉っ!!」
廉 「何だよ」
桂太「まずは古川さんに謝れよ」
廉 「そう言うなら、桂君が俺を無視した事を先に謝れよ」
桂太「あー、はいはい。わかりました」
廉 「早く」
桂太「ごめりんこ」
廉 「ぜってー許さねーっ!!」
柚月「この二人・・・、絶対仲良くなれない」
この時は、まだ何もわからなかった。
何故、桂太先生が廉にだけ厳しいのか。
何故、廉がこんなにも桂太先生に執着するのか。
そして、あたしはと言うと・・・。
まこ「柚月、顔真っ赤だよ?大丈夫?」
柚月「え?熱でもあるのかな?元気だけど・・・。」
自分でも不思議だった。
どうして、自分の心臓の音が全身に響き渡る程に騒いでいたのか。
どうして、桂太先生に触られた背中が熱くなっているのか。
何もかも、まだ分からなかった。
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