第九十六時限目
「あんたは誰に似たのかしらね~そのまな板」
「胸なんか寄せまくれば何とかなるもんだ」
「はいはい(笑)それよりも、あんまり夜遅くまで出歩いちゃダメよ?」
「うん、控えます。」
「明日行けば、明後日は日曜日で学校休みなんだから遅刻しないで行きなさい」
「ほいほい」
「それと…」
「まだあるの?(笑)」
リビングから半分体を出し掛けた時、お母さんがあたしの顔を真っ直ぐ見つめながら、言った。
「彼氏が出来たら、ちゃんと紹介してね。歓迎するから。」
「…うん。」
お母さんの優しい顔が辛くて目を反らしてしまったあたしは、そのまま空返事をして自分の部屋へと上がった。
部屋に戻り、ベットに横になった時
『痛っ』
火傷していた事をすっかり忘れていたあたしは、ベットの上に置いてあったテレビのリモコンの上に飛び込んでしまった。
「今更また痛むなんて…調子いい体だなぁ」
ラジオが流れるイヤホンを耳に入れ、ゆっくりと目を閉じてみた。
(拓と、明日どんな顔して挨拶しよう…)
いい加減、拓とどうしたいのかケジメをつけなければいけない
でも、その前に敦子先輩や霧島君ときっちり話しをしなきゃいけない
「あ…バイト先に辞めるって連絡しなきゃ…」
まず、1番最初のケジメ。
あたしはバイト先に電話をし、『部活』を理由に迷惑を掛けた店長にひたすら謝り、辞めた。
「もう収入源無いな…バンドの費用大丈夫かな…」
気まずい雰囲気のまま別れてしまった桂太君と菜緒。
(バンド云々の前に、もう口聞いて貰え無かったりして)
明日、学校へ行けば全て分かる。
噂も、拓も、全部…
「あ゛~お風呂入ろっかな」
軽く背伸びをしてタンスの中を探っていた時
あたしの携帯が鳴った。
(もしかして拓かもっ…)
そんな無駄な期待を胸に、あたしは携帯のディスプレイを見た。
「非通知…?」
今まで1度も非通知で掛かって来た事が無かった。
(イタズラかな…?誰だろ…)
通話ボタンを押す事に躊躇した。
でも『もしかしたら』とゆう可能性を信じ、あたしは携帯の受話器を耳にあて、通話ボタンを押した。
「…はい」
いつもより少し低めのトーンで電話に出たあたし。
「もしもし!?竹内?」
「はい、竹内ですが…」
(ん…?聞いた事ある声だな…)
「俺っ♪分かる!?」
「霧島君…?」
「ピンポーン!よく分かったね~!」
「…ハハハ」
夜の10時を回ったとゆうのに、相変わらずのテンションにあたしは苦笑いした。
「今暇!?」
「暇って…それより何で非通知なの?」
「昼間、松澤にちょっと意地悪しちゃったからさぁ~、竹内も俺の事キレてんじゃないかと思って試しに非通知にしてみたっ!」
「別に怒ってなんかは…」
正直言えば、頭に来たよりも少し呆れたとゆう感情の方が強かった。
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