第六十九時限目
車で15分弱。
あたし達はファミレスに到着した。
車内では、あっくんの仕事の話しとあたし達の学校の話に花を咲かせた。
「結芽ちゃんは何部なの?」
「一応剣道やってます」
「そうなんだ~?その割になで肩だね?」
「さすがに女子高生で男子トイレマークはちょっと…」
「ハハハっ(笑)結芽ちゃんって発想が豊かだねっ!」
「…ありがとうございます…?」
桂太君が運転席と助手席の間からひょっこり顔を出す。
「結芽ちゃん、あっくんってうちの卒業生なんだよ!」
「えっ、そうなんですか?」
あっくんがタバコを取り出しながら答える。
「そうだよ~、去年まで高校生してました(笑)」
(そうなんだ…全然知らなかった…)
「だからタメ語でいいからね~」
見た目通りの気さくで優しい人。
(良かった…桂太君の言う通りいい人そう)
高校のOBと言う事もあってか不安だった気持ちが少し取れ、あたしは空腹モードが全開になった。
それから、あたし達3人は車を駐車場に停め、店内に入った。
「あいつら何処だ?」
あっくんが店内を見回す。
「あっ、あっくんあそこっ!」
桂太君が指差す方向…
そこにはスーツを来た人と、多分あたしや桂太君と同じ学年位の男の子2人が既に食事をとっていた。
「剛、渉っ、お前等何先に飯食ってんだよ?」
2人がいるテーブルの席に座り、あっくんがつまみ食いをする。
「あっくん達遅いよ!15分も待ったし!」
4人掛けの椅子に5人で座るのはさすがに窮屈で辛い。
「あっくん、俺と結芽ちゃんこっちに座るね」
上手い具合に前の席が空いていた為、あたしと桂太君は2人でのびのびと座る事にした。
「あ、待って。まず結芽ちゃん自己紹介しないと」
あっくんに腕を掴まれ、剛君と渉君の前に座らされる。
(自己紹介…!?)
相変わらず言葉をまとめるのが苦手なあたしは
「た、竹内結芽…16歳です…えっと剣道部所属で、趣味は…」
「ぶっっ!!(笑)」
棒読みで話すあたしに桂太君が爆笑した。
「桂太、この子なかなか面白いな(笑)なんか頭に花咲いてそう(笑)」
「渉君、結芽ちゃんに失礼でしょ(笑)」
(も~っ、だから自己紹介とか嫌なのにっ…)
あたしは恥ずかしくて顔が熱い。
「ごめんね(笑)俺は渉、社会人1年生だよ、宜しくね」
スーツを来たさっぱり系の男の子が渉君。
「ほら、次はお前だって」
渉君が剛君の脇をつっつく。
「剛、15歳の高1。キーボードに任命されました」
ハンバーグをがっついている剛君は、かなりのお洒落っ子。
アクセサリーをジャラジャラ身につけ、色鮮やかな服を見事に着こなしていた。
「渉君がベースで剛がキーボード…で、あっくんがドラムで俺はギター、そして結芽ちゃんがボーカルね!」
「とりあえず今日は挨拶だけだから、次から色々詳しい話交ぜて行こうな」
どうやらこのバンドのリーダーはあっくんらしい。
「さ、飯食うぞ~」
あっくんの一声で、みんながそれぞれ席に着き始める。
あたしはピザで桂太君はステーキ。
それぞれ注文した物が運ばれ、食べながら会話を続けた。
その中でも、何故か渉君のターゲットにされたあたしは、かなりいじられまくりいいネタにされた。
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