第五十五時限目

「うわぁ~あたし何組だろ」




赤い髪をいじりながらクラス表を見る菜緒。




「ん―…あっ、あったっ!あたし2組!」




「俺1組。菜緒今回も隣りだなっ」




「同じクラスになりたかったね~、残念。結芽は?」




「あたしの名前無い…」




「結芽、ちゃんと進級出来てたの?」




「分かんない…やだよ~菜緒先輩!」




「おいコラ(笑)縁起でもない事言うな(笑)」



「結芽ちゃん、名前あったよ?」




顔面蒼白のあたしに、桂太君が苦笑しながら指をさして教えてくれた。




「結芽ちゃんの名字…竹内だよね?」




「竹内だよ、竹内結芽です」




「4組だよ!ほら、ちゃんと名前あるじゃんっ」





2年4組。




そこには、しっかりとあたしの名前が書いてあった。



「あった…ヤバイ、合格発表の時より嬉しい…」




「やったね結芽!一緒に修学旅行行けるよ!」



「うんっ!でもクラス離れちゃったね…」




1組と2組は2階で、3組からは3階となり少し離れてしまう。




「あたし結芽に会いに行くよ!」




「またまた…そんな約束しといて実は全然会いに来ないパターンでしょ…」




「結芽性格ひねくれてるよ(笑)」




「だってもう今年17だし…」




「意味分かんないからっ(笑)ねぇ桂太?」




「……」




「…桂太?」




クラス表をじっと見つめたまんまの桂太君。




「コラっ、桂太っ!」




「…えっ、はいっ?」




「桂太君どうしたの?」



「全然っ、生徒数多いなって…」




「桂太君ジジ臭い(笑)」



さっきまで生徒で溢れ返っていた下駄箱も静かになり、ホームルーム開始のベルが鳴った。



「やばっ、菜緒、結芽ちゃん走ろっ!」




あたし達は急いで各クラスへと向かう。




「じゃ結芽帰りねっ!」




「うん!後でね!桂太君もバイバイっ!」




急いで3階へと続く階段を登ろうとした時。



「結芽ちゃんっ!」




「えっ、何っ!?」




「ごめんねっ、頑張って!!」




「は?何が!?」




それだけをあたしに投げ捨て、桂太君は1組、菜緒は2組の教室へと入って行った。




「……?」




桂太君の『ごめん』の言葉の意味が分からないまま、あたしは今年1年お世話になる4組の教室へと足を踏み入れた。








2年4組。




こりゃまた綺麗にグラデーションされたクラス。




赤、黒、茶、金…




そして1人白。




とにかく色んな髪色の生徒が押し込められた様な個性が強すぎるクラス。




あたしは、とりあえず黒板に書いてある通りの席に着き、人通りクラスの皆を見渡した。



(基本的にギャル多いな…あたし仲良くなれるかな…特に白い子、あれは白髪?)




続いて窓側にいる生徒を1人ずつ分析。




(あの子細っ!あの子は髪凄い綺麗…)




(あの男子眉毛繋がりそ―…、あの人は色白いなぁ…くしゃみしたら骨折しそうじゃん)



もうとっくにホームルームは始まってるはずなのに先生が来る気配は無い。




きっと少しでも早く皆がクラスに馴染む様にとゆう魂胆なんだろう。




あたしの席は窓側から3列目の前から2番目。



初っぱなから1人でボケっとしてるのも嫌だったので、とりあえず後ろの席の女の子に声を掛けてみる事にしてみた。




「おはよっ」




「あ、おはよ~!」




(あれ、この子知ってる…)



「名前教えて?あたし多香子っ」




「あたし結芽だよ!」





津森多香子。



1年生の時、学年で1番可愛いと噂されてた女の子。




成績、性格、スポーツ、そしてルックス…全て良し。




「多香子ちゃん、眩しいね…」




「へ?」




「ハハハ…何でもない(笑)これから仲良くしてね」




「うんっ!宜しくね!」




(噂通り、本当にいい子なんだなぁ…)




友達作りの出だしの良さにホッとし、あたしは再度周りを軽く見回した。






その時。





「ん?」




一瞬、突き刺さる視線を感じた。




(何だ?)




廊下側から2列目の1番後ろ…




そこに犯人はいた。




「…げっ!!」




松澤拓。




彼も同じクラスメイト。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る