第四十時限目

〈条件〉



その1、理由を聞いても絶対にキレない事。



その2、拓には絶対あたしが理由を知ってる事を悟られない事。




その3、拓に送ってもらったあの日、何があったのか圭太君に話す事…。





「分かった?」




「ねぇ…3つ目って必要なくない?」




「必要だねっ、あの時、俺と菜緒拓の事駅で待ってたんだよね」




「そうなのっ!?」




「うん。で、戻って来たと思ったら顔真っ赤でさ…しかも別れる時まで一言も喋んねぇの!」




「あ…そう…」




「聞いても何にも言わねぇし…。俺等の間に隠し事はいかんよね!?」




ニヤリとしながら桂太君があたしの肩を叩く。



「…嫌だっていったら?」




「俺も教えない」




「…そのエロ笑いは大体見当は付いてるんでしょ?」




「真実をハッキリさせたいからね~(笑)」



(あたしの口から言わせたいだけだろーがっ)




あの日の出来事は言いたくないどころか思い出すのも恥ずかしい。



でも、拓の真相は知りたい…




(恥ずかしいけどそんな事言ってる場合じゃないんだよね…)




悩みに悩んだ末、あたしは蚊の鳴く様な声で桂太君にあの日の出来事話した。




桂太君は足をバタバタさせてはしゃぎ、あたしはそんな桂太君の頭をその辺から引っ張りだした本の角で軽くこづいた。





「いやぁ~あの拓がねぇ~(笑)」




「多分、拓は誰でも良かったんじゃない?」



「あ、結芽ちゃん酷いっ」




「だって謝ってたし…」




急に桂太君の表情が真顔になる。




「結芽ちゃんは、拓が軽い奴って思ってんの?」




「…思ってないけど…」




「でしょ?…まぁ、ここから先は俺が言うべき事じゃないからね」




「難しいね…でも、あたしあれが初めてだったんだ」




「キス!?」




「う、うん…」




「そうなの!?だって拓もじゃんっ!」




「拓のファーストキスは磯田君と…」




「相手が女でだよっ(笑)」




「拓、見た目経験豊富そうなのにね」




「うわ~っ!やばいっ、俺体むずむずしてきた~っ!」





あたしは、だいぶ話がズレてしまっている事にやっと気付き、話を元に戻した。




そして、最後に桂太君が再度あたしに確認を取った。




「いい?後の2つの約束守ってよ!?」




「うん、分かった」





桂太君が事の成り行きを順を追って説明して行く。




あたしは真相を聞かされ、沸々と湧き上がる怒りを抑えきれず、桂太君が止めるのを無視して勢いよく図書館を出た。



「結芽ちゃんちょっと待って!」




図書館を出て3階に行こうとするあたしを、桂太君が慌てて阻止する。




「結芽ちゃん話が違うっ」




「だってっ…原因はあたしでしょ!?」






拓が停学になった理由…




昨日の放課後、拓は磯田君に学校の裏にある公園に呼び出された。



その公園は結構大きな公園で、拓達がまだ磯田君と仲良かった頃いつも昼食の後にそこでタバコを吸ってから体育館でバスケをしていたらしい。




拓は部活に行く前にちゃんと磯田君の約束通り公園の中にある小さな休憩所でタバコを吸いながら磯田君を待った。




暫くして、拓の前に現れたのは拓のクラスの担任。




タバコの臭いをプンプン漂わせてた拓は、持ち物検査の末すんなりバレてしまった。




それから先生に連れられ職員室へ行く時、拓は下駄箱で磯田君と会ったらしい。




拓が無視して磯田君の横を通り過ぎた時、拓の携帯にメールが来た。

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