第九時限目

「ありがとっ!!聞いたらメール頂戴!?」



「了解(笑)」




(ルンルンしちゃって…菜緒可愛いなぁ)




それからとゆうもの、体育の最中も6時間目の物理の授業中も、うんざりする程桂太君がいかに素敵かとゆう話を聞かされた。







ホームルームも終え教室を出る時、あたしは菜緒から再度念を押され、その後荷物をまとめ剣道場へと向かった。





靴を脱ぎ場内に入ると、1つ上の敦子先輩と綾香先輩、そして松澤拓〈マツザワタク〉が男子部室の中でゲラゲラ笑っていた。




「こんにちわー…」




「あっ、結芽っ!」




「あっちゃん何がそんなに面白いの?綾ちゃんも一緒になって腹抱えて笑って…」




「おっ、主役登場じゃん(笑)」




拓がニンマリしながらあたしを指さす。




「何?主役って」




敦子先輩と綾香先輩は未だ堪え切れずに笑ったまま。




「知りたい?」




「知りたい…」




「見てビビんなよっ!」




(え?何であたしがビビるの!?)



拓の言葉の意味が理解出来ないまま、あたしは拓から渡された1冊の本を見た。




「何これ、エロ本じゃん」




(くだらない…)





あたしには8つも離れた双子の兄貴がいる。今は2人とも結婚して落ち着いたが、昔は本やビデオが山積み出来る程沢山あり、そんな環境の中で生活していたせいかあたしには多少の免疫がついていた。




「23ページ開いてみ」




「23ページ…?」




折り目がついてある23ページを開く…




「きゃっ!結芽ちゃん見ちゃった!!」




拓の声が遠くに聞こえ、あたしは全身の血の気が引いた。




「凄くねっ!?俺っ!」




「……」




あたしを見た敦子先輩と綾香先輩の顔から笑みが消える。




「おーい!結芽さ~ん!生きてますかぁ?」




23ページ……




そこには某有名男優と戯れているあたしがいたのだ。



「あのね結芽っ、ついさっき綾ちゃんと道場に来たら拓が必死になって作ってるから見てみたら…。笑ってごめんっ!!」




敦子先輩が申し訳なさそうにあたしに謝る。



「お前ボインだなぁ~(笑)いやんっ、恥ずかしい~!」




「のっ…」




「へ?」





金縛りが解けたかの様に、あたしは行動を開始。




「このアホっ!!しょーもない事してんなバカっ!!」




「一時の甘い夢を見させてやったんじゃねぇかよっ!感謝しろ!」



「うるさいボケっ!写真返せっ!悪用すんなっ!」




「ゆ、結芽も拓もその辺で…」




「大体あっちゃんも綾ちゃんも何で爆笑してんの!?止めさせてよねっ!」




「だ、だってその結芽の顔…本にピッタリハマってんだもん…プッ(笑)」




「だから笑うなぁ~っ!!」




うちの学校は剣道部の部員が少ない。




女子が5人で男子は6人、全員が剣道経験者だ。





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