第15話 笑い声

「黙れ」

「え?んがっ!!」


私の前で無言で立っていた彼はカーラにむけて言葉を放つとカーラの悲鳴が聞こえましたが今の私にはもう状況の確認をする力すらありませんでした。

すると彼はゆっくりしゃがむと私にゆっくりと語りかけはじました。


「この世界の誰も君を必要としていない」

「っ、」


再度私に放たれた言葉はさらに私を絶望させる言葉でした。肩を震わせる私、そしてまたじわじわと溢れてくる涙、やっぱり


「だけど、俺は君を必要としている」

「!!」


彼の言葉に私は驚き勢いよく顔をあげました。そこで私はまた驚くことになります。彼はさっきまで被っていたフードをいつの間にとっていて、そこには先ほどまで私を冷たく見下ろしていた赤い目の彼はおらず、優しい笑顔を私に向ける男の子がいたのです。


☆☆☆


いやー、焦った!!

彼女に最後の確認をしたら急にしゃがみ混んで泣き出すんだもん!!

ほんと焦った!!


さて、一応彼女の敵(?)の三人は風魔法でぶっ飛ばしたし、今は俺とさっきから俺を凝視している彼女のみ、ここからが交渉だな!!


「い、今なんて‥‥?」


気合いを入れ直していると彼女は震えながら訪ねてきた。


‥‥そうだよね、さっきまでひどい言葉をかけられ、殺されそうになってたんだもんな、そりゃ警戒するよね、

さっきまでの威圧的な言葉を止め、素の自分を出すことにした。


「俺は君を必要としてるよ、」

「っ!?」

「え?、な、なんで!?」


俺がもう一度言うと彼女はまた泣き出してしまった。

え?なんで?

俺は慌ててポケットからハンカチをだして拭いてあげた。

すると彼女はさらに泣き出し、もう収集がつかなくなってしまった。


「う、ぐす、ほ、ひっ、本当に、わ、私を、うっ必要と、じ、っで、く、れ、ん、まずか?」


彼女は途絶え途絶えながら聞いてきた。

まるで、何かにすがり付くように、最後の光へと手をのばすように、

俺は彼女の両手を優しく持ち上げて彼女の目を見ながら


「うん!!俺は君を必要としてる!!俺と一緒にきてくれますか?」


なるべく彼女に不快感を与えないように安心させるように、精一杯の笑顔をむけて彼女の言葉を固定した。


「う、う、うわああ!! 」

「え?あ、ちょっ」


いきなり彼女は俺に抱きついてきた

あまりに突然ですごい勢いだったので、俺は彼女を抱き締めるような形で尻餅をついてしまった。柔らかい彼女の感触にやきもきしながらも優しく背中をぽんぽんと叩いてあげる。


「わ、わたし、行きます!!、貴方の行くところへ、どこまでもっ!!」


暫くして落ち着いた彼女はぱっ、と俺から離れると少し頬を染めながら叫ぶように了承してくれました。

俺は笑顔で


「うん、よろしくね!!俺は久保清司、セイジでいいよ」

「よろしくお願いいたします、私はアマリリス・、‥‥ただのリリスです、リリスとお呼びください、セイジ様」


そして俺達は笑い合った。

新しい生活の始まりを祝したな歓喜の笑い声だった。

二人の笑い声が墓地に響く、いつまでも


「ふあ~、おわりましたか?」


今まで物陰で爆睡していたリエルの間抜けな声が聞こえるまでは‥‥



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