第14話 絶望

矢印の指し示す場所に向かえば何故か墓地についた。そしてさらに進めば言い争う女性の声が聞こえたので近くの木に身を隠し物陰からそっと覗き見るとテレビでみた追放令嬢が兵士二人に押さえ込まれ彼女達の前には30代後半くらいの女性が手にナイフを持って笑っていた。


「ふふ、逃げられるとお思いで?私は殿下とある取引をしたのです」

「で、殿下?」

「ええ、あの方はあんたとの婚約を破棄したくてしたくて仕方なかった、だから私があんたに罪を立てさせる変わりにあんたの命をくださいと言ったの、そしたらあの方は大喜びで賛同されたわ!!しかも回りに根回しもされてね、ふふ、お分かりになりました?貴方、誰からも必要にされていないんですよ」


ふむ、どうやら彼女がこの追放劇の黒幕だったのかな?

しかしもこの状況を考えるにあの子を殺すみたいだ、なら俺にとって好都合じゃないか?

死んだことにして連れ去る、言葉にするとなんか犯罪臭いが、まぁ、追ってとかも気にしなくていいしな、よし、やっぱりあの子にしよう。


俺は一歩踏み出し木から姿を表すと声を出した。


「そんなにいらないなら俺がもらおう」


☆☆☆


「貴方は誰ですかっ!?」


いきなり現れた人物を見てカーラが慌てて問います。その人物は辺りが闇に包まれるなか同じ色のローブを着ているにも関わらず惹き付けられる存在感を放っているように見え、私もカーラも私の両脇を押さえる兵士二人もその人物から目を離すことができません。そして彼?は取り乱すカーラを気にせずゆっくりと歩きだしました、誰も動けず、彼は私の前まで来ると


「邪魔」

「「!?」」

「え?」


彼が一言放った瞬間、私を押さえつけていた兵士二人がいなくなりました。私は慌てて振り向くと兵士は私が乗せられて来た馬車に激しく打ち付けられたように倒れており、馬車も横転していました。


「ねぇ、君、」

「っ!?は、は、っ!!」


私が後方を見ていると彼は私に語りかけてきたので私は急いで振り向き返事をしようとする私でしたが、私を見下ろす二つの赤い目が視界に映り私は息を飲みます。

彼は緊張で固まる私に構わずさらに言葉を続けます。


「君は誰からも必要とされていない」

「っ!!」


彼が発したその一言、

私は誰からも必要とされていない

お父様も学園にいた友人達も屋敷にいる使用人も、愛していた婚約者の殿下も、そして幼い頃より信頼していたカーラからも‥‥


誰も私を必要としてくれない

どんなに努力しても、誰も振り向いてくれない


今までの私の人生は‥‥無駄だったの‥‥?


その考えが頭を過った瞬間、足の力が抜け立っていることができず、へなへなを地面へと座わんでしまいました。

視界に入るのは暗い地面、そしてポタポタと私の手に当たる水滴


「あは、あははっ!!そ、そうよ!!あんたなんか誰からも必要とされていないのよ!!そこの貴方良いこといいますねっ!!あははっ!!」


私の姿を見てさきほどまで固まっていたカーラが私を嘲笑います、その笑い声がやけに頭に響き心がキシキシと音を立てて潰れていくような感覚に襲われました。

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