第8話 アマリリス・サルーア
私の名前はアマリリス・サルーア
この国、アルジェスタ王国で公爵家の娘として育ちました。ただ、私の実母は私が幼い時に儚くなり、居なくなったお母様の替わりに現れたのが私と1つしか変わらない娘を連れた父の平民出の愛人でした。そこから私の人生は急変したのです。父と義母は実の娘であるマリンを可愛がり、逆に私を煩わしく扱い出しました。いつの間にか私は離れに追いやられお母様の専属メイドだったカーラと二人で慎ましく生活していました。ですがある日私とこの国の王太子である殿下との婚約話が持ち上がりました。王家からの打診だったのでたとえ公爵の父でも反対することはできず私と殿下は婚約しました。
初めて殿下と顔合わせをした際に私は緊張から失敗をしてしまいあろうことか殿下の前で泣き出してしまったのです。
その時殿下は私の頭を優しく撫でてくれながら
「大丈夫?そんなに泣かないで?僕は君の婚約者だ、君の事は僕が守るよ」
お母様やカーラ以外からそんな優しい言葉を言われたことのない私は殿下のその包み込まれるような優しい笑顔をみた瞬間、私は恋に落ちたのです。それから私は殿下の婚約者として恥ずかしくないよう必死に努力をいたしました。辛い王妃教育にも熱心に取り組み、社交にも積極的に取り組みました。
全てはあの日私に婚約優しい言葉をかけてくださった大好きな殿下のためにと‥‥でも、今思えばそれが誤りだったのかもしれません。
いつの頃か、殿下は私を冷い目で見るようになりました。
決め手となったのは王公貴族子息令嬢が通う学園で事です。私と殿下ももちろん在学していましたが事態が動いたのはあの娘、私の義妹のマリンが入学してきた頃からでした。マリンは元が市井ぐらしだったので貴族の慣習に無頓着でその天真爛漫な振る舞いで次々に高位貴族子息を手玉にとり、とうとう殿下にまで接触してきたのです。先にマリンに夢中になった子息の婚約者達には嫌みを言われ、どうにかしろと苦情が私の所に押し寄せ、さらに私の婚約者である殿下にまで無礼を働いたと聞いては居ても立ってもいられません。
私はマリンを人目のない校舎裏に呼び出し問いただしました。ですが、そこでマリンは泣き出してしまいその現場を殿下を含めたマリンに夢中な子息達見られてしまったのです。
そこから学園内で私に対する風当たりが強くなり私に苦情を上げた女子生徒達まで一緒になって私を非難しました。
家に変えれば父と義母に責められ、学園では大好きな殿下を筆頭に大勢の生徒からの虐め、そして毎日変わることのない厳しい王妃教育、私の心は疲弊していきました。
そしていよいよ追い詰められた私にカーラがある提案をしてくれたのです。
それは義妹マリンの暗殺計画でした。
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