第7話 一人は寂しい

「おーい、リエル起きろー?」

「んがっ、あと30時間‥むにゃむにゃ‥」


俺とリエルが一緒に生活を初めて早くも一週間が過ぎた。俺も男だ、最初は外見美少女と一緒に住めて恋愛フラグきたかな?と期待に胸を膨らませたがこのゴミものすごーく、だらしないのだ。

脱いだ服はそのまま脱ぎ散らし、日がな一日ごろごろしながらテレビを見て、家事は全て俺がしている。

これではどちらが補佐かわかったもんではない。


今もベッドでスヤスヤとよだれを足らしている姿はとても神とは思えない。どうみてもただのニートだ。俺はリエルを放置し、本を片手にリビング向かった。

ちなみにこの本はなんとこの家にある書庫から持ってきたものだ。本好きが必ず夢見るマイホーム書庫、しかも俺の敬愛する神様が用意してくれたのか俺の好みど真ん中の物ばかりである。

ちなみに俺の最近の流行りは女性が主人公の恋愛小説だ。別に男性主人公が嫌いな訳ではない、ただ、男性主人公物は8割の確率でハーレム作るから飽きたのだ。

そして最近は婚約破棄からのざまぁが大好物でよく読んでいる。


だが最近は大好きな本を読んでいてもあまり楽しくない、理由は分かりきっている。話し相手がいないからだ、リエルは飯寝る飯寝るで相手にならない。やはり普通に話せる人間が欲しい。

どうしたものか、


その時俺の耳にある音が届いた。


「アマリリス・サルーア!!私はお前との婚約を破棄する!!」

「そんな!!なぜです殿下っ!!」


音のする方へ目を向けるとBGM替わりに流していたテレビからだった。

偶然にも人間界のとある国の王宮での出来事らしく二人の男女の前に1人の女性が大柄な男性に組伏せられているシーンだった。


おぉーなんかこのシーン今読んでるシリーズににてるなぁ~、

そう思い手に持つ本を眺める。

これは先も言った通り最近はまってる婚約破棄からのざまぁ物では本の主人公は婚約者の王子に浮気された後に婚約を破棄される、だがその後隣国の王子に見初められ幸せになるというラブストーリーだ。

俺がはテレビ画面を注視した、今見ているのはこの世界にある人間の領域のとある王国の話みたいだ、つまりはリアル、このあとどうなるのか少し、いや、かなり気になるので俺は音量を上げた。


「貴様は俺の愛しのマリンを平民と蔑み、さらには俺とマリンの仲に嫉妬しマリンを殺害しようとしたな?実行犯はすでに取り押さえ、証言と貴様の直筆の依頼書も既に見つかっている。」

「わ、私は、殿下や国の為に」

「黙れ!!」

「つっ!!」


ふむ、どうやら本当に殺害を依頼したらしい、本とかだと濡れ衣とかだったりするんだけどなぁ、やっぱりリアルとフィクションは違うか、


「本来なら極刑にするところだが優しいマリンがそれはあんまりだと言うので貴様を国外追放とする!!生きていられるだけありがたく思うのだな!!おい、連れてけっ!!」

「「はっ!!」」

「で、殿下っ!!」


組伏せられていた女性は衛兵に連れて行かれた。女性がいなくなるとまるでさき程の騒動などなかったのように舞踏会は続いた。


彼女の親らしい人物がへこへこと王子と隣に女性に挨拶をし、口々に

「あの娘を追放してくれて助かりました」

「あのバカがご迷惑をおかけしました」

などを言っているのが画面越しに見えてかなり不快だった。どうやらあの女性は親とあまりうまく言っていなかったようだ。

他にも回りの彼女と年が近そうな人々からも彼女を侮辱する言葉はあれど擁護や心配する類いの言葉は聞こえなかった。

彼女はあの城、あの国から要らないと烙印を押されてしまったのか、

俺は無意識に手を顎にあて考え込む、

やがて意を決したように顔をあげ、


「‥‥‥うん、そうだな‥‥」


俺は立ち上がりクローゼットのある寝室に向けて歩きだした。

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