13 突然の終了と突然の映画.

「うわあ綺麗」


 本当に、音がしない。


 港の景色。


 昼の景観。受取所。倉庫。荷下ろし所。


「いい眺めですっ」


「喜んでいただけてうれしいです」


「で、女の子ひとりつれてきたのはいいけど、管区のほうはどうなの?」


 ヘリコプターの運転手さん。女の人の、声。


「はい。小麦粉の袋を掴まされているところです。やはり敵は管区でした」


「じゃ、後で全部こっちが処理するわ。ありがとう甲何こうさかくん。任務終了です」


「やったっ」


 甲何と呼ばれた男の人。私の手を繋いで。


「しばらく自由の身です。行きましょう。映画館。長官。近場の映画館まで」


「国家機密のヘリをタクシー扱いするわけね」


「いいじゃないすか」


「あ、あの」


「はい。どうしました?」


「先に小麦粉、届けないと。牛ちゃんと豚ちゃんに」


「あ、そうか。長官。小麦粉って、手に入りますか。海外でも国外でもいいんで、めちゃくちゃ上等のやつ」


「ああ、防衛備荒用のめっちゃくちゃ上等なやつがあるわね、たしか」


「4袋ぐらい、融通してもらっていいですか。送り先は」


「あっはい」


 自分の受取所の住所を言った。


「はいはい。送っとくわね。管区周りがまだきなくさいから、明日でいいかしら?」


「あ、はい。ありがとうございます」

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