【第一部】第一章 再会
「人の心配よりも、自分の心配をするのだな。俺が敵なら、お前は、確実に死んでいた。」
左側の顔を血で赤く染めた飛翔は、クルリと背を向ける。
影龍は、震えていた。
「よく俺が上から攻撃すると、分かったな。その調子で頑張れば、お前は、もっと強くなれる。」
そこまで言うと、飛翔は、屋敷の中へ入って行った。
影龍は、飛翔を傷付けたことに、心を痛めていた。
夕方になり、影龍は、伊賀の頭領の佐助に呼ばれ、頭領の部屋へ来ていた。
佐助は、影龍の前に腰を下ろすと、話を始めた。
「影龍…。あの飛翔に、勝ったそうだな。」
「いえ…勝ったなど…。あれは、事故で…。太陽の光がなければ、俺がやられていました。」
影龍は、下を向き呟いた。
「いや。飛翔も申しておったが…。お前は、勘が鋭い。それに、腕も上がった。…そこでだが、お前に、甲賀へ行ってもらいたい。」
「甲賀に?」
「うむ。甲賀へ行って、様子を探って来るのだ。」
「しかし…俺は…。」
「これは、命令だ。」
否を言わせない佐助の言葉に、影龍は、重い気持ちで、甲賀へ向かった。
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