【第一部】第一章 再会


五年前の春。

伊賀の屋敷の裏庭で、飛翔と影龍は、いつものように、技を磨いていた。

飛翔は、矢を射るのが上手く、影龍は、刀使いが上手かった。

二人共、伊賀の中では、まだ若かったが腕の方は良かった。


「影龍!新しい技だ。これをかわせるかな?」


「よしっ!こい!!」


矢を構える飛翔と、刀を構える影龍。

二人は、同時に宙を飛んだ。

太陽の光が刀に反射して、飛翔の目を眩ませた。


「ダァーッ!!」


「うわぁぁっ!!」


影龍の鋭い刃が飛翔の左目を切った。

血が飛び散り、二人の着物にかかる。

地面に下りた影龍は、飛翔の姿を探した。

しかし、飛翔の姿はない。

気配さえないのだ。

地面には、血が点々とついている。


「飛翔!どこだ!?」


叫んだ影龍は、後ろから、首に手を回され、息を飲む。


「油断は、禁物だぞ。」


「飛翔…!そんなことより、大丈夫か!?」


心配して、そう言った影龍を無表情で見つめると、飛翔は、静かに言った。

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