【第一部】第一章 再会
グッと拳を握りしめ、飛翔は、竹を持つと、声を張り上げ、狂ったように、影龍の身体を打ち続けた。
大量の血を口から吐いた影龍を見て、美剣は、飛翔の手を止めた。
「何故、止める?!」
怒鳴る飛翔に、美剣は、唇を噛んだ。
「そんなに憎い相手なら、すぐに殺すのは、つまらないと思わないか?じっくりと、伊賀の恐ろしさを思い知らせてやろう。その方が楽しいと思わないか?」
美剣の言葉に、飛翔は、ニヤリと笑う。
そして、気持ちを落ち着かせる為、大きく深呼吸をする。
「そうだな。じっくりと、ゆっくりと、俺達の本当の力を思い知らせてやる。楽しみだろ?影龍。」
喉の奥で笑った後、高らかに声を上げ、笑う飛翔。影龍は、力のない瞳で見つめた。
縄が手首に食い込み、血が腕を伝って肩へと流れ、着ている着物は、ボロボロに破けている。
身体から、流れ出た血が床に落ち、風で乾きかけていた。
ダラりと首を垂らした影龍の身体を生暖かい空気が包む。
ギシギシと音を立てる縄。
乱れた黒髪を風が優しく吹きつけ、薄く開いた唇に、数本張り付く。
ぼんやりと、風で舞う木の葉を見つめながら、影龍は、遠い昔のことを思い出していた。
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