【第一部】第一章 再会
背後で声が聞こえ振り向くと、美剣がフラフラの足取りで立っていた。
飛翔は、影龍の側を離れ、美剣の方へ駆けて行くと、肩を抱き寄せた。
「大丈夫か、美剣?」
影龍は、顔を上げ、美剣の顔を見た。その顔は、美雪であった。
「そういうことか…。甲賀に忍び込んで、何を探ろうとしたのかは知らぬが…お前達に騙されるほど、甲賀は、甘くはないぞ。」
掠れた声で呟いた影龍をチラリと見ると、飛翔は、薄く笑みを浮かべる。
「そうかな?…お前の兄や、あの疾風という男は、美剣のことを信じ込んでいるようだが…?」
「飛翔…あいつ兄って?」
美剣が顔を覗き込み尋ねる。
「…こいつと、お前の知り合った光龍とは、双子の兄弟なのさ。だが、双子は、悪魔の使いとして恐れられている。こいつは、生まれた時、甲賀の者から捨てられ、この伊賀で育てられたのだ。その恩も忘れて、今では、甲賀の影として暮らしている。俺達、伊賀を裏切ってな。」
飛翔の話を聞いて、美剣は、瞳を震わせた。
「俺と、こいつは、伊賀にいる時、兄弟のように生きてきた。俺は、本当の弟のように思って、こいつと暮らしてきた。しかし、俺を裏切り、こいつは、甲賀の手先になった。俺は、こいつを許さない!!この左目も、五年前、こいつにやられたのだ。」
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