第4話:秘密特訓
私は体毛を原料に再生した身体にペルセスの魂を封じるのに成功した。
これは私一人の才能と努力が成し遂げたことではなく、ペルセスが心からジャネルを愛し護りたいと思っていたことも大きかった。
私の想像の範疇だが、ペルセスは自分を信じ待ち続けてくれるジャネルを護るために、守護神となって現世に留まっていたのだろう。
少々腹が立つくらいの深い愛情である。
「ペルセス、守護神になっていたなら分かっているでしょうけど、ジャネルはずっと貴男を信じて待っていたのよ。
せっかく帰ったのに、他の連中に疑念を抱かれて処刑されないように、疑われようのないように、生きて戻れた理由を作らなければいけないわ。
それに、ペルセスに裏切りを証言させないように、ゴリアスの奴が必ず口封じをしようとするわ」
ペルセスを蘇らせたのはいいが、その後の事を考えていなかった。
ダンジョン獣に喰い殺されたことになっていた男が、長い年月が経って戻ってくるのだから、偽者ではないかと疑われるのは当然だ。
真っ当な言い訳ができなければ、変身獣か確かめるために拷問されかねない。
それ以上に問題なのが、ペルセスを陥れて殺したゴリアスが、自分の罪を隠蔽しようとペルセスを殺そうとする事だ。
「直ぐにジャネルに会わしてあげたいけど、このままじゃ危険すぎるわ。
少なくとも、ゴリアス一味を独りで返り討ちできるくらいの実力を付けてくれないと、心配でとても地上に戻せないから、今から特訓するわよ。
今からこのカードの使い方を教えるから、頭に叩き込むのよ」
「はい!」
私は独自に開発した世界最小の魔法陣二セットを、ペルセスに渡した。
普通の魔法陣は大きく重い豪華な魔導書に書き込まれていて、使いたいページを開いて魔法陣を起動し、魔術を発動する。
比較的安価に販売されている簡易版も、大きな巻物を開いて魔法陣を起動させ魔術を発動させる。
だが私の開発した魔法陣は、遊び人が賭博に使うカードの大きさという極小サイズで、しかも非常識なくらい破壊力が大きい魔法陣が書き込まれている。
「魔法陣に込める魔力は、ペルセスの身体の中にあるから、それを素早く引き出し使えるようになるのよ」
こうなると、ちょっと趣味に走ったのも運がよかった。
まあ、その、最初はチョッとした遊び心だったのよ。
別に人体実験しようと思ったわけではないの。
ペルセスの魂が現世に残っている確率は低いと思っていたのよ。
だから、招魂ができなかったら、身体と顔を作り直して、従者にする心算で、身体の中に魔晶石を埋め込み、魔力増幅魔法陣を刻み込んでいたの。
「いいわね、ジャネルを護りゴリアス一味を返り討ちするために、魔晶石と魔法陣を身体の中に埋め込み、この秘密の魔法カードを譲ってあげるのよ。
真剣に鍛錬しないと許さないわよ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます