2-5 一週間の恋人
俺が
けれど、ここにきてウェストミンスター閣下から直接与えられるでかい仕事だ。
しかも成功すれば、
「イトセ。こんな深夜に相談って何だよ。眠いんだけど……」
全寮制のウェストミンスター校。
隣にはハレルドが住んでいる。部屋は本や書類で溢れていた。真夜中だってのに、ハレルドは起きていた。
俺が渡したテストの過去問で勉強していたらしい。
「惚れさせたい女性がいる。どうしたらいい?」
「イトセ……相談相手が何で俺なんだよ」
ハレルドはあくびをしながら、眠そうな瞼をこすった。
「お前しかいない。俺は恋愛には疎い」
「ウェストミンスター校でぶっちぎりでモテてる男のセリフとは思えないぜ。男子生徒からお前が特に嫌われてる原因って、女子からモテてるやっかみもあるだろ」
「モテているわけじゃない。
「はあ……それを言うなら俺も
たった一週間であのエマ王女を惚れさせろなんて不可能だ。
でも、閣下からのお望みだ。
「で。
俺の外見と戦技の連勝記録を掛け合わせて、ウェストミンスター校の女子生徒が言いだしたんだ。
イトセ・オルゴットの戦い方は、
「それは秘密」
「まあ、いいけどよお。だけどイトセ。俺たちはこのウェストミンスター校で最底辺なんだからさ、ここで誰かを好きになっても辛いだけだと思うぞ。学生時代の恋愛は続かないっていうしな」
「ハレルド。結論は?」
閣下は俺のことをよく分かっている。俺は何よりも上に行きたい。
閣下の手駒、序列が高い程大きな仕事が出来る。これまで小さな仕事を積み重ねて、やっと
序列一桁から先は、依頼の難易度も上がるって聞いたことがあった。
「――その子に優しくすればいいんじゃね? ほら、モンスターを手懐ける時だって、自分は敵じゃないってアピールするだろ? あれと同じ理論だな」
ハレルドの助言はいつだって的確だ。
困ったら、こいつに相談するようにしている。これまで何度も難題にぶつかってきた。その度にハレルドからアドバイスをもらって依頼をクリアしている。
……エマ王女に優しく、か。
ちょうど今、依頼を貰っているけど、あれを利用するか。
「あー、それにだな。悩みとか解決すれば、いいんじゃね?」
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