引っ越し準備

結局、例の家に引っ越すことにした。

荷物をまとめておきなさいと言われた私は、早々にいる物といらない物の選別をすることにした。

なぜ早々かって?

…修学旅行で日付があるからまだ大丈夫だと油断して用意してなかったらいつの間にか修学旅行当日になってて色々忘れたからだよ。

あの時の失敗を繰り返さないためにも、と勢い込んでせっせと荷物を選別する。

が、三十分で飽きた。

三日坊主もびっくりの飽き性だ。

疲れてその場でごろんと横になる。

荷物を片付けて思ったが、この部屋結構広い。

こんなに広かったのか、となぜか感慨深く思ってしまった。

この部屋とも、もうお別れなんだな…と感傷に浸っていると、不意にがした。

「…?」

最初は下から聞こえる足音かとも思ったが、どうも違う。

こう、なんか、んだよねどうも…。

しかしこの数年怪奇現象に悩まされてきた私はこんな物じゃ怖がらないぜふははは、と謎の自信満々なドヤ顔を天井へ向けた。


がいた。


びっくりしすぎて息が止まる。

人だ。

どっからどう見ても人だ。



つまりさっきの足音は、これが私の上を行ったり来たりしていたという訳で。

「っ」

とりあえず、ダッシュで下に降りてこたつに潜った。

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