神社
私の通っている通学路には古びた神社がある。
ある日のこと。
その神社の入り口を通った時に奥の方で掃き掃除をしている人がいた。
こんな寒いなか良くやるなぁすごいとぼーっと見つめる。
信号が赤から青に変わるまでの数秒だったのだが、いつもよりそれが長く感じられた。
不思議に思って信号を見る。
信号はまだ赤のままだ。
がさがさ。
音が聞こえた。
神社の方を見ると、さっきの人がまた掃き掃除をしていた。
あれ、と思う。
さっきよりも明らかに距離が近い。
信号を見るとまだ赤のまま。
ここからあの人まで約数百メートルある。
近づいてきている、と思った。
これはきっと、いや多分やばいやつだ。
そう思って、早く青になれと念じる。
がさがさ。
また近くなる距離。
もう泣きそうだった。
だって多分あと三回くらい見たら追いつかれる距離だもん。
がさがさ。
早く、早く。
自転車のハンドルをぎゅっと握りしめる。
がさがさがさ。
枯葉を掃く音が徐々に徐々に近くなる。
もう終わりだ。
がさがさがさがさがさがさがさがさがさがさがさ。
その時。
信号がやっと青になった。
慌てて自転車を猛スピードで漕いで家に帰る。
なにあれほんと怖かった。
多分ここのところほぼ毎日ある出来事の中で一番怖かった気がする。
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