革靴

またもや授業中の時の話。

ぼーっと先生の頭の上に飛んでる虫を見ていたら、ふと黒板の後ろで何かが動いているのに気付いた。

真っ黒くて、ペタペタと音がする。

そう、先生達が履くような革靴だ。

黒板の後ろで何か作業をしているらしく、あっちへ行ったりこっちへ行ったりしていた。

それを見つめてるうちに眠くなったらしい。

気付くと休み時間だった。

「あ、起きた」

「ん…おはよ」

「おそよう。あんた寝てる時テストしたよ」

「えっ、私のテストは?」

「そのまま出した」

「うせやん」

確実に0点じゃないか。

なんてことをしてくれたんだと文句を言うついでに、先生に私の分のテスト用紙を返して貰いに席を立った。

そういえば、黒板の後ろでの作業は終わったのだろうか?

教室を出るところだった先生を捕まえて用紙を返して貰い、席に着く。

「黒板の後ろ、作業してたの終わったんだね。なんの作業してたんだろ」

すると友達が大丈夫かみたいな目で私を見て言った。


「何言ってんの、黒板にじゃん」


ぎょっとする。

確かに。

黒板は壁に固定されているモノだ。

じゃああの靴は…?

冷や汗が止まらない。

ちなみに、そんな靴は誰一人として見てなかったらしいし、その日の私のテストは名前書き忘れで0点だった。

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