水面
お風呂に入っていた。
うちのお風呂はとても高い温度に設定しているので、とても熱い。
ぼーっとしてきたなぁ、と思って、頭を洗いに湯船から出る。
ちゃぽん。
「?」
真後ろで水音がした。
…いや、水音がするのは当たり前だけど。
なんか正常な水音じゃなかった。
変な予感。
そっと後ろを振り返る。
水面が鏡になっている。
私がいた。
正しくいうと、水面の鏡の中に私がいた。
そして。
その顔がにぃっ、と異様なほど歪んで嗤っていた。
ぞっとする。
鏡の中の私は、確実に私を見ていた。
背筋に悪寒が走った。
どくどくと心臓が鳴った瞬間。
「姉ちゃーん」
弟の声がして、はっと我に返る。
「な、なにー?」
「お風呂変わってー」
「わかったわかった」
扉の方に叫ぶ。
それから恐る恐る水面を見ると、そこには、真っ青な私の顔が映っているだけだった。
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