車内
ざあざあとバケツをひっくり返したような雨が降る。
そんな日に出かけるのかと嘆息して、車に乗り込んだ。
「ちょっとまってて」
「はあい」
家の前に停めた車の中で、大人しくゲームをしている。
すると、窓の外がどこかおかしい事に気づいた。
ずず、ずず、ずず…
しかも何かを引きずる音も聞こえる。
よくこんな大きな音を無視できたな自分。
ゲームに集中しすぎかよ。
しかもそのまま放っておけばいいものを、私は窓の外をまじまじ見てしまった。
一度気にしたモノは放っておくのは難しい。
なんか暗いな、と改めて車内を見たところで気付く。
この影、外から入ってきてる。
車の扉を開けようとしたが、開かない。
「なんで!?なんで開かないの!?」
鍵かけてないのに。
いよいよやばいやつだと思った私はその場に蹲るように頭を抱えた。
耳許で呼吸が聞こえる。
じっとすること約十分。
ソレは消えた。
止めていた息を吐き出す。
その時。
「ミツケタ」
真後ろで、声。
車内に私の悲鳴と泣き声があがった。
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