のっぺらぼう

のっぺらぼう。

それは別名むじなとも言われている、小泉八雲が書いた話に出てくる顔のない妖怪である。

そして現在深夜二時。


私の目の前にその


長い黒髪を伸ばして今時のファッションに身を包んでいる。

はちゃめちゃ今時じゃん服。

めっちゃ可愛い。

そのスカートほしい。

とりあえず座りたいが身体が硬直して動かない。

…うん、金縛りだねこれ。

「…あの、すみません」

「…」

「なぜ私はあなたとこうやってにらめっこをしないといけないんでしょうか」

するとのっぺらぼうはカタコトで話し出した。

「アナタ、コワガル、ナイ」

「…つまり?」

「ワタシ、コワガラセル、シゴト。アナタ、コワイ、イウ」

「なるほど、怖がって欲しいと」

こくこくとうなずくのっぺらぼう。

…もうこの際私がお化けと会話できてることは追求しないで頂きたい。

「わかりました、でもあれじゃあなぁ…」

「アレ?」

「あの脅かし方じゃ誰も驚いてくれませんよ」

「…ムズカシイ」

「わかりました、じゃあ私と一緒に練習しましょう」

おいおいおいおい。

いきなり何を言い出す私。

寝てくれよ、いや、寝かせろよ。

なに元気よく練習とか言っちゃってんの?

すると嬉しそうにのっぺらぼうが笑った。

人の笑顔に弱い私はぐっとなってからため息をついた。


その数時間後。

脅かし方講座を経て、のっぺらぼうは人並みには怖がる脅かし方が出来た。

るんるん気分ののっぺらぼうは私に勢いよくお辞儀をした。


「ありがとう。またきますね、師匠」


服が今時だから言葉遣いも今時に直した。

はたからみたら人間そのものだ。

これでばっちりだろう。

うむ、とうなずく私を見て、のっぺらぼうは消えてった。


※夢でした。

なんつー夢みてん自分。

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