フェイント

中学生の時の話。

部活で夜七時くらいの帰宅になってしまった。

ため息をつきながら重い荷物を持ってせっせと帰る。


家の前の路地まで来た時。

不意に後ろに気配を感じた。

試しにゆっくり歩く。



それから少し早めに歩いてみる。



あ、これ憑かれてる。

そう思って、ゆっくり歩くと見せかけて走り出した。

家に入って扉を後ろ手で閉める。

ほっと一息。

外を探ると、もうなにも気配は無かった。

安心して鍵を閉めようと振り返る。


!!


「ひっ」

心臓が止まった。

その場にへたり込む。

玄関の扉が大きな音で鳴ったのだった。

そして。


よくみるとガラスのところにとついていた。


気配がなくなったのはフェイントか。

してやられた、と思ってため息をついた。

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