連れ帰り

突然だが、私の家には週に五回、多くて週七日泊まりにくる居候がいる。

とても美人でどこぞのモデルとよく間違われるが、れっきとした数学オタクなだけである。

文学オタクな私とは正反対な性格だが(苦手教科まで正反対とはこれいかに)この居候には霊感があるらしい。

霊感といっても、あ、あそこになにかいるな〜くらいのモノ。

完全に視えてはいない。

なんでも父方の祖母が強力な神通力の持ち主で、代々神社の神主をしていたらしい。

そんな居候と一緒にいる生活は不思議だらけだ。


それは中学二年生の時だった。

当時不登校気味だった私が久しぶりに学校に行って帰ってきた時のことである。

スタスタと歩いていると、後ろから嫌な感じがする。

あ、これ、ついてきてる。

そう思って違う道を通って帰った。

ちょうど家につくタイミングで気配がなくなったので、安心して玄関の扉を開けた。


「えいやっっ!!」


ばさばさばさっ。


そんな掛け声と共に何かを大量に頭からかけられる。

それが口にも入ってきて思わず顔をしかめた。

「え、なにこれしょっぱ!?」


それは大量のだった。


帰ってきた瞬間塩をふっかけられたのだ。

なんなんだと怒る私に塩をかけた張本人(居候)が一言。


「お前なにきてんだよバカ」


どうも詰めが甘かったらしい。

一回離れたかと思ったがまた性懲りもなく引っ付いてきたのか。

そいつも災難だけど私も災難な日だった。

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