7 -平和を手繰り寄せる者-

 暗雲が晴れた。

 目を細めた王は魔法の行使を止め、勇者たちの消えた魔王城の様子をうかがう。


完全結界パーフェクトバリア


 直後、国王のもとへ、一つの黒い弾丸がつっこんだ。遅れて、城の天辺が瓦礫と化し、くずれていく。

 余裕の王の目の前には、魔物の王が、その身を切り裂かんと爪を突き立てていた。


「魔王よ、無駄な抵抗はよすがよい。おぬしが、外に出た時点で勝ち目はなくなったのじゃ」


 黙れぇ! 傷だらけの魔王は、仇敵への一撃を阻む障壁を破ろうとする。


「引きこもりのおぬしには、分かるまい」


 爪の先端だけが、国王のいる側にある。


「この大地、全てに張り巡らせた魔力の網」


 それでも表情を変えぬ国王は、杖を持ち上げた。


「どこにいても、勇者は加護を受け、蘇生できるのじゃ」


 そして、振るった。

「勇者たちよ! 勝利の時は来たれり!」


 王の身体は吹き飛び、草原に倒れた。遅れてぼとりと、結界を破りかけていた腕が落ちた、

 魔王城から続々と出てくる勇者たちは、魔王のもとへ駆け寄った。


 この日、世界に平和が、ようやく訪れた。

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