7 -平和を手繰り寄せる者-
暗雲が晴れた。
目を細めた王は魔法の行使を止め、勇者たちの消えた魔王城の様子をうかがう。
「
直後、国王のもとへ、一つの黒い弾丸がつっこんだ。遅れて、城の天辺が瓦礫と化し、くずれていく。
余裕の王の目の前には、魔物の王が、その身を切り裂かんと爪を突き立てていた。
「魔王よ、無駄な抵抗はよすがよい。おぬしが、外に出た時点で勝ち目はなくなったのじゃ」
黙れぇ! 傷だらけの魔王は、仇敵への一撃を阻む障壁を破ろうとする。
「引きこもりのおぬしには、分かるまい」
爪の先端だけが、国王のいる側にある。
「この大地、全てに張り巡らせた魔力の網」
それでも表情を変えぬ国王は、杖を持ち上げた。
「どこにいても、勇者は加護を受け、蘇生できるのじゃ」
そして、振るった。
「勇者たちよ! 勝利の時は来たれり!」
王の身体は吹き飛び、草原に倒れた。遅れてぼとりと、結界を破りかけていた腕が落ちた、
魔王城から続々と出てくる勇者たちは、魔王のもとへ駆け寄った。
この日、世界に平和が、ようやく訪れた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます