6 -決戦-
ドッタンバッタンと激しい音がぴたりと止み、直後、雑踏が近づいてくる音を、じっと聞いている者がいた。
百の勇者を総計六百三十七回も退けた、魔王である。
玉座から上半身を前のめり気味に傾けながら、憎々し気に、かつて見た顔ぶれを眺めた。
「なぜ今更、貴様らが現れる……? いいように使われ、俺に殺され、捨てられたくせに、なぜ立ち向かってくる!」
わめく王と勇者たちの間に、魔物の一人が立ちふさがる。
「気づけ! お前たちの仕える人間の王は、貴様らを全員、捨てたやつだぞ? なぜ忠義を尽くそうとする!」
だが右腕と呼ばれるほどの実力も、数と質には敵わない。魔王がまくしたてているうちに、ぐらりと崩れ落ちた。
「ああ、ああ、そうか。かわいそうに、洗脳されているんだな? あるいは、家族が人質にとわられているのか。ここで手を組もうじゃないか。お前たちは反旗を翻し、その力で皆を助け出す。円満な終わり方じゃないか!」
最後の魔物が、立ち上がる。
「そうだな、おまえが王となるがいい! 世界も、半分くれてやる! どうだ? 俺と人間の王を、倒さないか?」
向けられた無数のきらめきに、魔王は、
「……ならば、全身全霊をもって応えてくれるわあぁぁぁああぁぁ!」
本性を現し、勇者を十人ほど消し炭にした。
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