03

 昔、男は思いを寄せる女のもとにひじき藻という物に歌を添えて贈りました。


  おもひあらばむぐらの宿に寝もしなん ひしきものには袖をしつつ

  (私を思う気持ちがあるのでしたら葎の生えた侘しい宿に共に寝よう 敷物には袖を広げて)


(二條の后がまだ帝にお仕いする前の一般の身分であらせられたときのことである)



【三段】

 昔男ありけり。懸想しける女のもとにひじきもといふ物をやるとて

  おもひあらばむぐらの宿に寝も志なん ひしきものには袖をしつつも

(二條の后の、まだ帝にも仕うまつり給はで、ただ人におはしましける時のことなり)

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