視線

 会議は特に何も起こらず時間の経過と共に眠気をばら撒いてノロノロと覇気を感じさせずに行進していた。

 ちなみに例の新型ウイルスへの感染対策はかなりの徹底ぶりである。

 …それにしても今日はどうにも視線をよく浴びる。

 さっきの成果報告の時も視線を感じたし、今も誰かの寝ぼけ眼からの薄い視線を複数感じる。

 なにか悪い噂でも立ってしまったのだろうか?

 と、自分の過去を振り返っている時、少し大きな声でお偉いさんが周囲の眠気を覚ますように先程より強く発言した。


「これで定例会議を終わりにします。用のある人は個別に。では解散」


 皆一斉に立ち上がり、軽く礼をして会議が幕を降ろした。

 皆欠伸をしながら会議室を後していく。時刻は午前11時過ぎだ。

 しかし、会議室出て行く人達からもそれはもう沢山の視線を浴びせられた。


「行くぞー、多々良」


 同僚の呼び声が耳に入る。同じ部署の戦友である。


「俺、なにか変な噂でも立ってんのか?やけに視線を感じるんだか?」


 と疑問を口にすると、親しい同僚は呆れた声で、


「あぁ、なるべく触れないでやろうとおもったんだがなぁ」


 同僚は目を虚空に向けてこう言った。


「まさかお前にそんな趣味があったとはな」


お手洗いに駆け込み鏡で確認すると、そこには二次元の女のコが沢山描かれた代物マスクを着けた自分が写っていた。


(つけてたマスクのキャラクターはどうやらガルパという作品のキャラクターらしい)

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