第13話 森へ行く準備
森へ行く準備の為に、色々と作ろうと制作意欲が湧いてきた。魔法袋があるし、沢山持っていけるよね。と思いついたのだ。
まず、新しくリュック型の魔法袋を作る。中を広げられるので自分用に子供サイズだ。次にもしもの時ようにテントを作る。これは見た目は一人用、中は3LDKにした。自分の部屋と客間2つ、勿論お風呂とトイレつきだ。
防犯対策も完璧に結界付きにする。ノアの姿で行くことばかりだろうと思って、自分の部屋は男の子っぽくしてみた。青基調の部屋だ。客間は一つは落ち着いた色合いに、もう一つはポップな色合いにしてみた。
このテント作りは思った以上に楽しくて、ついつい晩ご飯の時間近くまで作業してしまい、アリナに怒られてしまった。作ったテントを見せると自分も泊まってみたいです! と喜ばれた。機嫌がちょっと良くなって、怒りが半減したのでホッとした。
家具や寝具などにも凝ってしまって、本来の森へ行くという目的を忘れそうになってしまった。
次に薬だ。森の中でも自分で作れる様に練習する。お母様やアダルヘルムに随分と教わったので、かなり作れるようになった。これを薬箱を作って、その中に入れる。
ついでに包帯や、バンドエイドもどきも作ってみた。バンドエイドの実験は自分とマトヴィルでやってみた、武術の稽古の後はかすり傷が出来るので、そこに貼ってみたのだ。1、2時間で傷が消えすっかり元通りになった。成功だ。
本当は自転車が欲しいなと思ったのだが、森の中の道はガタガタしているので、乗り心地も良くは無いだろうし、パンクもしてしまうだろうと諦めた。いずれ何か自分用の乗り物を作ろうと心に決めた。
武器や薄皮鎧をアダルヘルムが準備してくれた。魔獣に遭遇しても大丈夫なように、必ず常に身につけておくようにと言われた。
私の武器は刀だ。子供用? なのか脇さしなのか? 小さめのものだ。お父様が子どもの頃使っていたものらしい。
それからオルガには平民服を作って貰った。平民の男の子に見えるようにと、何着か作ってくれたのだ。いちをララの時ように女の子の物も作ってくれた。あまりひらひらとしていないので普段からこれが着たいと言ったら、何故か却下されてしまった。残念だ。
アリナはブーメランをくれた。これを使って森で遠投の練習をするといいとの事だ。ブーメランを使うのがとても楽しみになった。
マトヴィルからは弓を貰った。まだ一度も練習をした事が無い。体がもう少し大きくなったら練習しようと言われた。なんだか皆がとても心配して、色々とくれるので申し訳なくなってしまった。
テントを作ったので、泊まること前提に考えているのでは? と思われたかもしれない… …
図書室へ行き、森へ行く時ように図鑑を何冊か持って行く準備をする。魔獣や、草花、虫などだ。
ふと、アレサンドラ・ベルの本があった棚を見ると、アレサンドラ・ベルの本は1冊もなかった。禁書棚に隠されたようだ。残念。
ついでに今夜読む本も準備する。スカーレット・キャデンビィッシュの ”女性の欲望” と ”女性の目覚” にしてみた。女性ものならアリナも反対しないだろう。
あと、ロレンゾ・スミスの ”結婚後の夫婦の生活” も借りていく、結婚して、夫婦間が前世の様になっては大変だ。今のうちから勉強あるのみである。
図書室から出るとオルガに会った。森へ行くときの本と、今夜読む本を借りたことを伝える。
「お嬢様、アリナから聞いたのですが、まさかアレサンドラ・ベルの本は借りていませんよね?」
アリナは何故かオルガに、アレサンドラ・ベルの本を借りた事を話したらしい。
「大丈夫です。本棚をみましたが、アレサンドラ・ベルは有りませんでした。それに、アリナと大人になるまでは読まないと約束しましたから。」
そうですか。 とオルガはあきらかに、ホッとしていた。
「因みに、どんな本を選ばれたのですか?」
「森へ行くための図鑑が数冊と、今夜読む本は、女性向けの? の本で、 スカーレット・キャデンビィッシュの ”女性の欲望” と ”女性の目覚” 、ロレンゾ・スミスの ”結婚後の夫婦の生活” です。今から大人の女性の事と、結婚の事を勉強しておけば、きっと素敵な方と結婚出来ると思うのです」
「戻しましょう!」
「えっ?」
「すぐに戻しましょう! 私がお嬢様に相応しい本を選びますわ」
「ええ? なぜですか? 女性のべんきょ… …」
答えの途中に、オルガに抱えられて図書室へ戻ることになってしまった。私の素敵女子への道のりは遠いようだ……
因みにオルガが選んでくれた本は、 アイリス・ホワイトの ”ニャンコ物語” とアーク・ナイトの ”エドガー王子の冒険” だった。
本を読み、床に就く。ウトウトしていると、ハッと思い付くーー
(虫かごとか虫取り網とか必要かしら?)
起き上がりそっと明かりをつけて机に向かう。ちょっとした材料は魔法袋に入っているのだ。こちらの世界サイズの籠と網を作る。一時間もすれば完成だ。
明かりを消し、床に就きまたウトウトと睡魔に身を任せる。ハッとまた思い付くーー
(絵を描きたくなるかも!)
ガバッと起き上がり、自分の部屋の引き出しから紙の束と鉛筆を出す。筆箱がない事に気付き布で筆箱を作る。なかなかにいい出来だ。紙と筆箱をリュックの中へと入る。
ホッと息を吐くと、部屋の扉があいた。寝間着姿のアリナだ。明かりを手に持ち、アリナらしくなく口をあんぐりと開けている。
「アリナ、寝間着初めて見ました」
「そうでしょうね… …お嬢様… …今何時だとお思いですか… …」
「アッ!」
「すぐにご就寝下さいませ! お体にさわります!」
「ごめんなさい。夢中になって忘れておりました… …」
アリナの恐ろしい笑顔を見て、私は慌てて布団に潜り込んだ。アリナはその後、私が本当に寝入るまで側を離れなかった。私はアリナの お嬢様は本当に目を離すと何をやるかわからないとか、ご自分の年齢を忘れてしまっているとか、夢中になると時間を忘れてしまうとかを子守唄にしながら寝入ったのだった。
勿論、次の日はお昼寝をさせられたのだった。
テントの中で1日生活をしてみることにした。皆が見守れるようにと、中庭に設置する。見た目は一人用なので大きくない。中庭に立てても何の問題もないのだ。そしてマトヴィルが一緒にテント生活を送ってくれることになった。
「おお、ララ様なかなか良いテントじゃねーか!」
「でしょう、でしょう。自慢作品なのです!」
「台所、保冷箱と保存箱も作ったのか! やるなぁ!」
「ふっふっふっ、見て下さい、【ミキサー】と【圧力鍋】も作ったのですよ!」
「おお、何だこれ! 見たことねぇなぁ!」
「勿論、マトヴィルの分も作りましたからね。後でお渡しいたしますね」
「マジですかっ! ララ様有難うございます!」
マトヴィルは、台所を見て言葉が乱れるほど興奮していた。キッチン用品にも勿論興味があるので、一つ一つ手にしては大興奮だ。次にトイレとお風呂を見せる。
「おお、ここをひねると簡単に水が出るのか、台所の水場とおんなじだなぁ。こりゃ風呂に入るのも楽だ。ララ様この蛇みたいに長いやつは何ですかい?」
「ふっふっふ、それは【シャワー】です」
シャワーの蛇口に少しの魔力を流し、蛇口をキュッと捻り水を出してあげる。
「おおおお! こりゃ、スゲー! ララ様は天才だ!」
「マトヴィルほめ過ぎです… …」
私が開発したわけではない、前世の記憶のものだ、あまり褒められると恥ずかしくなるーー
マトヴィルは何度も何度もシャワーを出したり閉めたりして、水が出るのを楽しんでいた。
「このトイレは変わった形ですなぁー」
「【水洗トイレ】です。ここを魔力を入れて、キュッと持ち上げると水が流れるのですよ」
トイレの水を流して見せてあげる。マトヴィルは、目を真ん丸にしてトイレを覗き込んだ。具合が悪くて吐いてるみたに見える。
この世界はぼっとん便所だ。トイレで用を足すと落ちて魔法で消す。庶民の世界では各家庭にトイレは無く、オマルなどにしてまとめて共有の汚物処理場に持っていくらしい。アリナに教えてもらった。
作ったトイレにはウォシュレット機能も付いているが、それは内緒にしておこう… …
「マトヴィル、客間2つあるのですがどちらのお部屋がいいですか?」
「おおお… …むう… …んー… …悩みますねぇ… …よし! こっちの明るい部屋にさせてもらいやすぜっ!」
マトヴィルは自分の荷物をドンっとおいて笑った。
「マトヴィル、あと、【爆弾】を作ったのですが見てもらえますか?」
「ば? くだん? ですかい?」
「そうです。魔獣が出たら驚かそうと思って… …」
ハイっとマトヴィルに、ピンポン玉ぐらいの魔獣爆弾を渡す。
「魔獣を驚かせて、逃げさせる物です。試してもらえますか?」
「おお、まかしてください!」
テントの外に出て結界を張ろうとしたら、マトヴィルがポーンと中庭に魔獣爆弾を投げてしまった。マトヴィル待って! との私の声は爆発音にかき消された。ドドーン! 中庭の花壇は吹き飛ばされ、綺麗に咲き誇っていた花々も飛び散り、中庭は散々なありさまだ。投げた中心地点からはモクモクと煙が出ている。その上、地面には大きな穴まで開いてしまった。
「おお、こりゃ、スゲーなぁ、ガハハハッ!」
勿論、この後お小言案件になったのは至極当然である… … マトヴィル… …ご愁傷様ですーー
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