第65話 好みじゃないのに行きたいカフェ・前編

家の近くに、たまに行きたいカフェがあります。


もっとお気に入りでおすすめの、頻繁に行くお店もありますが・・・たまに行くそのお店には、ちょっと調子の悪い時に行きます。


これといった理由もないのに、なぜだか少し悲しい時・・・さびしい時。自分が元気じゃないかもと思ったとき。


ちょっぴり落ちているとき、気心知れたスタッフさんのいるお店より、もっとアウェーなそのお店に行きたくなるのです。


さて、そのカフェがどのぐらい好みではないのかというと、まずそのお店は激しく喫煙率が高いです。


ドアから一歩入った途端、タバコ臭くて・・・💦


テンションダダ下がりになり、うーん・・・と思いながらも足を踏み入れます。


もちろん、人におすすめもできません。煙たいし・・・


さらに、お客さんの年齢層がめっちゃ高いです。


お店の近くにメディカルビルがあり、病院通いのおじいちゃん、おばあちゃんのたまり場になっているのではと推測します。


初めて行ったその日から、「ジジイカフェ」と心の中で呼ぶことにしました。おばあちゃんも多いですけどね。


常連さん率がめっちゃ高くて、近隣のお年寄り達のコミュニティーと化しています。

お店に入るとスタッフさんよりも先に、常連のおじさんやおばちゃんが、


「好きなとこ座ってね!」


などと声をかけてくれます。うっかりすると、コミュニティーに組み込まれてしまいそうな危険をはらんでいます。


座席の数はそれほど多くなく、入れ替わり立ち代わり70~80歳代の方達が出入りしています。常連さん同士でおしゃべりしたり、店主さんとお話をしていたり・・・

皆さんため口で親し気なご様子です。


女性店主さんは若々しく見えますが、50歳代前半だとお客さんとの会話で耳にしました。彼女はお客さんのおじいちゃんやおばあちゃん達から「ママ」と呼ばれています。


私は心の中で突っ込まずにはいられません。いい年のおじいちゃん、おばあちゃん達が、なぜ自分たちより明らかに若い店主さんを「ママ」と呼ぶのか・・・?


ですが他のお店でも、女性の店主さんを「ママ」と呼ぶご年配の方を見たことがあります。カフェの女店主さんは「ママ」と呼ばれる文化がきっとあるのでしょう。


私はそのお店で、店主さんと積極的に言葉を交わすでもなく、常連さん達との会話に興じるわけでもありません。何気なく、大人しく飲食しながらも、内心ではあれこれとツッコミに忙しいことなど、皆さん知る由もないでしょう。(つづく)

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