運命の日曜日⑥

平川凜


「えっと、……何か言いかけなかった?」

 空気の読めない店員さんに雰囲気をぶち壊されてから、遥が何も言わないので声をかけた。

「僕が、遥のことをどう思っているか、だよね」

「うん」

 正直、答えづらいことこの上ない。確かに遥のことは好きだけど、そんな雰囲気じゃないというか、気まずいというか……1つ確実に言えるのは…

「まあ、幼馴染……かな?」

 2人の間に、沈黙が走る。

「……そっか」

 少したってから、そう言って、遥は微笑んだ。

 僕は慌てて付け足した。

「というかどうって言われても、まあ普通に仲がいいし、一緒にいて楽しいとは思うし……」

「でも、結局はただの幼馴染ってこと?」

 僕は、自分に問いかける。

 遥と僕の関係は、幼馴染なのか。












 うん、幼馴染だね。それは、確実である。

「うん、幼馴染だよね」

「あーもう、そうじゃなくて!私のことどう思ってる?」

え?返答間違えた?なんか不機嫌になったんだけど。

「私は、凜のことが好きなの!その上で、私のことどう思ってるの?付き合ってくれない?」

「え?好き?」

 なんか話飛ばなかった?へぇ、凜のことが好きなんだ……凜って誰だっけ。

 うーん、わかんないなぁ。


……

………。

……僕?


 いやいや、まさかぁ。

「幼馴染としてってこと?」

 遥は首を横に振る。

「ううん、男女として」

「……何かの罰ゲーム?」

「怒るよ!っていうか、怒ってもいいかな!!」

「もう怒ってんじゃん…」

 まあ、これがいたずらだったらその時はその時で。

「いいよ、僕も…は、遥のことは嫌いじゃないし?」

「そっか。……………え?いいの?」

「うん。付き合うよ」

「………」


抱きついてきた。……暑いけど、ほんのりうれしい気分である。

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