運命の日曜日③
山下翔太
「ふう、何とか誤魔化せたぜ」
「えっと、どう見ても誤魔化せてない気がするけどな。ていうかなんで隠そうとするんだ?」
怜児はやっぱりバカだった。どう見ても隠しきれてないのに。ていうか、登場の仕方からして石井は多分最初から知っていた気がする。
でも、不思議だ。なんで隠そうとするのだろうか?今更ストーカー行為がばれたところで、「ふーん、やっぱクズだね!」とか言われて終わりな気がするけど。
怜児はため息をついてから、言った。
「あいつが、今日凛と出かける奴だからだ」
……ああ、なるほど。ていうか、なぜ今まで分からなかったのかが不思議だ。
あの2人が一緒にいるところなんてよく見るからな。付き合ってるのか?いや、勘だけど付き合っては無いな。
「なるほどな、今日追いかける張本人だったわけか。……って、何してるんだ?」
怜児は手帳?か何かに一心不乱に書き込んでいた。
「うーん、今見られたのは想定外だな………相手も警戒してるだろうし……………から見張るか?いや、きっとあの………服は……」
書いていたのは、今日の計画だった。かなり緻密に書いているようだ。今日のためにどれくらいの時間を費やしたのか……
面倒くさいので、気が済むまで放っておくことにした。
あ、平川と石井がどこかに行くみたいだ。まあいいや、こいつ計画を立てるので忙しそうだし。
俺は今朝早くの電話で叩き起こされて無理矢理付き合わされただけだし。「昨日のことで相談がある、今から会わないか?」って言われて、まあ遊ぶのもいいかーって感じで来て、案の定謝罪の言葉も無かったし。
そうそう、昨日はあの後色々とあった。俺の幼馴染である西川結と、クラスメイトの平川が話しているところに怜児が突っ込んでいって平川を攫って行った。
「翔太、遅かったねー」
「ああ、待たせたか?」
「……うん」
「そっか、あいつらも何してんだろうな?暇なんだろうな」
「そ―かもね?…………翔太」
「……どうした?西川」
「なんで、前みたいに名前で呼んでくれないの?」
「え?それは……名前で呼ぶのは、なんていうか、その、やっぱ良くないんじゃないかな。あのこともあるし……」
「良くなくてもいーから。いつも結って言いかけて、西川って呼んでるよねー?」
「………」
この後も結構話し合っていた、いや反論を試みようとして失敗していた。いろいろとカットして結論から言うと、結局名前で呼ぶことになった。まあ、そっちの方が呼び慣れているのは確かだけど。……それ以外は特に関係に変化は無かった。
……よく考えたら、昨日と同じようなメンバーが集まっているじゃないか。後は結だけか。あいつは何もない休日は家でごろごろして、勉強しているだけだから、多分会わないけど。
10分後。
「よし、こんなもんでいいだろう!翔太、あいつらは今どうしてる?イチャイチャしてるのか?よし殺そう」
「ん?ああ、平川達ならかなり前に去っていったよ?」
「は?何で教えてくれなかったんだよ!」
「うーんと、寝不足だったから?昨日は結とメールしてて寝るのが遅かったし、デートで疲れていたのに今日早起きさせられたからね」
「よし、お前を殺してから後を追うことにしよう」
「じゃあ帰るわ」
「わ、分かった、殺さないから、一緒に追跡しようぜ!」
「これでついていく俺も大概だよな。まあ、付き合ってやるよ」
でも、怜児はバカだけど友達想いではあるから、今日のことにも何か目的があるんだろうな。
俺は怜児の後についていった。
……あー、平川達が行った方向と逆なんだけど……まあいいか、面倒だしな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます