第11話 一回整理しようか。
今回は少し短いです。
内容を進めるのが下手且つ遅いと常々思っております、はい。
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突然、頭と背中を押さえつけるように包み込まれた。
「あ、あき…⁉︎宮代、お前カラオケどうしたんだよっ」
「カラオケ?そんなの中止に決まってるよ。赤坂くんが優希がいないなら始められないっ、て聞かなくてね」
「は、ハァ?俺なんて無視して始めればいいのに、どうせ数合わせなんだから」
ありえないだろ俺がいないから中止なんて。よりによって赤坂がそんなこと言うなんて、何考えてんだ?
取り敢えず良い匂いだけど、このデジャヴ感溢れる抱擁をなんとかしないと。
「と、とにかく一回離れろアホ。こんな人目のつく場所で……!」
「おや、それなら人目の「人目のない場所でもすんなッ」……それは残念」
取り敢えず一安心。周りからまだ見られている気がするが、当然だと思う。
晶を見ると、走ってきたためか普段は綺麗に整っている髪も少し乱れている。カラオケが中止になったのはわかるが、どうしてまだ駅にいたんだろう。俺のことを待っていたのか?
話すならもう少し落ち着けるところに移動しようと言おうとしたそのとき、
「公衆の面前で、よくもまぁそんなベタベタとできるものね」
帰ったと思った黒川が俺たちの方に戻ってきていた。忌々しそうというか汚物でも見るような表情で、恐らく学校中の男子はこれにやられたんだろう。
「? 君は確か………誰かな?」
「お前知らないのかよ…」
てかコイツら地味に初対面なんだよな。俺としては友人と知り合い(連絡先も知らないし友人はおこがましいよな?)が対面しているわけだが、この光景には見覚えがある。
あれは俺が小学校のときのこと、クラスが変わり新しい友人ができたころ、昔のクラスの友人も含め遊びに行ったら初対面の友人同士が俺以上に意気投合。それから俺は若干蚊帳の外気味になってしまい、気まづくなり徐々に話さなくなっていった。
今回もそれだったら俺………泣くわ。
「話したこともないのだから、それが本来当然なのよ。2-Cの黒川那月。貴方と同じ学校のね」
「そりゃ、見ればわかるだ「貴方は黙っていてちょうだい」…はい」
怖い。え?何で怒られたの俺?
言われた通り黙りつつ、半歩ほど下がって晶の後ろに隠れた。
「黒川さんだね。私は宮代晶。優希とは知り合いなのかな?」
「ええ、うちの薪村くんがお世話になっているわね。いつも無愛想で大変でしょう?」
誰が「うちの薪村くん」だ! お前は俺の保護者ですかぁ〜? 会うのだって週1.2回程度だろ。連絡先も知らないし。
若干上から目線での物言いに、晶の方も違和感を感じたのか俺と目が合った。一見、いつも通りの表情だが、声に少しだけ圧を感じる。
「確かにね。でもそれが良いんじゃないか、可愛くて」
「お前は何を言ってんだっ」
横から黙れ、という意味を込めて首を軽く絞めて揺さぶる。
乱れていた髪がさらにバッサバッサと揺れるが知ったことか。
「優希、苦しいよ……」
「イチャつくのは人目がないところで頼めるかしら?モラルがなってないなんて学校の評判に関わるのよ」
モラルか……確かにこんな人目がつくところで若い男女が触れ合ってるのは良くないのかもな。本人達にやましい気がなくても、そう取られかねない。
晶とは長いことこの距離感で接してるから感覚が麻痺してんのかも。
「あれ!見て薪村いんじゃん!」
「本当だ。宮っちもいるし」
声がした方を振り向くと、樋口や赤坂といったカラオケに行っていたはずの面々が揃っていた。
先頭でボス猿の如く周りを引き連れる赤坂は俺を見るなり、急に不機嫌そうな顔になった。正直かなり怖い。
赤坂はそのまま俺の方に近づいてくると顔をズイッと近づけて来た。
「………お前、何で来ねェんだよ」
「は…え、あ……ごめん」
「お陰で合コン中止になったんだぞ」
「いや、俺いなくても別に始めてくれたって……」
俺がずっと思っていたことを口にすると、赤坂は はぁ? みたいな呆れ顔になった。
「馬鹿なのかお前?俺が誘ってお前はそれに答えたんだから、普通はお前込みで始まるわけ。なのにいつまで経っても電話に出ねぇしよ」
「…………」
「あ〜、とりあえずさ、どっか移動しない?」
最もすぎる主張に俺はそれ以上何も言えず、少し悪い雰囲気になったのを察したのか、樋口が助け舟を出してくれた。
「さんせ〜い、あたしお腹すいちゃった〜」
「俺も腹減った!どっかファミレス行こうぜ〜」
そろそろ良い時間だし、他のメンツも空腹を感じていたのか樋口の案に同意する。俺は絶対に行かなければダメだろうな。
黒川はどうするのかと思い振り返ると、すでに不機嫌顔の図書委員は居なくなっていた。
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