結と双子天使とあの神社

「到着!!!!」


「うわぁ、懐かs・・・・・・。ん?この神社って、こんなに廃れていたっけ?」


「この20年間の間に、参拝する人が減っちゃったんだろうな。」


2人の前には、過去の思い出と似ても似つかない神社があった。お賽銭箱には蔦が巻き付き、御堂の中の床や屋根に穴が空いたりしていた。


「どうする?僕らの力で、この神社だけ時間を巻き戻しとく?」


「魎さんに『時間の巻き戻しは無闇に使うな!』って言われてんじゃん。」


「ねぇ、狐神さま。狐神さまは、ズタボロ状態の神社で嫌じゃないの?」


魑明は誰もいない方向に向かって喋りかけた。


「こらこら。人の子が一生懸命に作った神社を『ズタボロ』と表現するでない。」


さっきまで誰もいなかったお賽銭箱の前に、1人の老人が現れて言った。


「おっほっほ、久しいのぉ。天の使い子たちよ。実に20年ぶりかの?」


「おじいちゃんだっ!!!!懐かしい・・・!」


狐神さまは、笑顔のまま魑明の額にデコピンをした。


「痛っっってぇ!!!!」


「今のは、魑明の自業自得でしょ。あれだけ、おじいちゃんや仙人って呼ぶなって言われていたのに。」


「そうだけどよ・・・・・・。俺の中でのおじいちゃんは、狐神さまなんだもん!」


狐神さまは、この光景を目を細め眺めていた。


「天の使い子たちの声は、やはり元気になるのぉ。のぉ、魑明と鬽闇。我が甥である、魎の様子はどうだ?」


「うーん・・・・・・?前とそんなに変わってないよ?」


「そうそう!この間も、魑明がナンパしに行こうとして魎さんに、モゴモゴ・・・・・・」


「ちょ、その情報を言うなって・・・・・・!!!!」


狐神さまに自分のことをバラされそうになった魑明は、急いで鬽闇の口を塞いだ。


「魑明よ、今更隠すことでは無いであろう。第一、そのことは魎から聞いておるから、知っておるし。」


「く、クソ・・・・・・。魎さんに、これだけは言わないでくれって言っといたのに・・・・・・。」


「魎のやつも、お主らの成長が楽しいんだろう。何かとあれば、すぐに連絡をよこしてくるし。」


「そうなの・・・・・・?」


「あぁ、そうだ。」


「そういえば、狐神さま。結局、この神社ってどうするの?」


「そうじゃな・・・・・・。これはそのままで良い。」


「え、何で・・・・・・!?」


「それは、この神社が復活するのも、このまま朽ち果てるのも人の子が決めることじゃからな。」


「なるほど・・・・・・。」


「そういえば、お主ら。御堂の裏手に、例のあの子が来ておるぞ。」


「え、それを早く言ってよ!仙人!!!!」


またしても、狐神さまは魑明の額にデコピンをした。


鬽闇は、そんな魑明を無視して御堂の裏手に進んだ。


魑明は、デコピンをされて赤くなった額を押えながら、涙目でついてきた。


2人の目の前には、あの時の少女の趣をしっかりと残した女性が蹲っていた。


「懐かしい・・・・・。結ちゃんだ!」


結はどこか懐かしい声が聞こえてきて、耳をすまして言った。


「あの時の、魑明くんと鬽闇くんの声・・・・・・?」


「ん、正解〜!!!!」


2人は体全体の透明化を解いた。


結は目の前に現れた魑明と鬽闇を見て、驚いた。


当時、私を笑顔にしてくれた2人は、私よりも身長が大きくて年上だったはずなのに、今、目の前にいるのはあどけなさを残した中学生ぐらいの子たちだったからだ。

見るからに年下で、結よりも身長が低いのである。


「・・・・・・えっと?魑明くんと鬽闇くんだよね・・・・・・?」


「そうだよ!!」


2人の喋り方と間のとり方は、昔と同じである。


「な、なんで私よりも若くなってるの・・・・・・!?」


「なんでって、俺ら天使だから。」

「なんでって、僕ら天使だから。」


「・・・・・・え、天使って歳を取らないの?」


結は頭が混乱しながら、聞いた。


「それは、半分正解で半分間違い。」


「僕ら天使は、4年に1歳しか歳を取らない。」


「俺らが結ちゃんに会ったのは、20年前、当時10歳のときだったから、今は15歳なんだよ!」


なるほど・・・・・・、天使は4年に1歳しか歳を取らないか。


ん?今、納得したけど、この子たち、天使って言ってた・・・・・・!?


「え?て、天使・・・・・・?!?!?!?」


「結ちゃん、今更すぎ。」


「僕ら、結ちゃんが子供の頃に翼を見せてるはずなんだけど・・・・・・?」


鬽闇は、頭を左右に振って続けた。


「とりあえず、魎さんに連絡しなきゃ!」


「あぁ、そうだな!ほら、スマホ。」


鬽闇は、慣れた様子でスマホを操作した。


「天使もスマホを使えるの・・・・・・?」


「そりゃ、使えるよ。俺らも一応人間だったんだから。」


鬽闇は、片耳にスマホを当てながら、二人の会話を聞いていた。


『───もしもし?』


「もしもし、魎さん?」


『そうだ。何かトラブルか?』


「違うよ!結ちゃんが見つかったんだ・・・・・・!!!!」


『そうか、今はどこにいる?』


「狐神さまの神社だよ。」


『わかった。じゃぁ、界魔カフェまで3人で戻ってきてくれるか?』


「りょーかい!」


電話を終えた鬽闇は、振り返り言った。


「魑明、魎さんが、結ちゃんを連れて界魔カフェに戻ってこいだって。」


「りょうかい!結ちゃん立って、俺の腕をしっかり掴んでてね。」


『へレニウムの舞!!!!俺らを界魔カフェに誘え!』


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