影に潜む者達

【幽霊:姿。】


?」


ミヅキが言った。


「加護のスキルは耐性とかのスキルとは別物だからな。貫通の効果が発揮されるのはあくまで耐性や無効などのスキルの範囲内だ。」

「なるほど……」


あの時、何とか生き延びれたのは加護のおかげだったということか。槍だけじゃなく、それ以上に大切なものまで俺は貰っていたらしい。


「というか三人はこの学園の副学長に拾われてここにいるんだよな?」


俺は気になっていたことを聞いた。


「うん!!そうだよ!!」

「あの時の先生には感謝してもしきれないな。」

「(こくり)」

「なら冒険者ギルドにいつ登録したんだ?」


冷静に考えれば、三人の初期位置はこの学園なのに、この大陸の主要地域を全部周るなんて……一体どんな旅路だったのだろうか。

三人曰く、最初は三人ともこの学園に入学する予定だったらしい。だが、一つの事件が三人の運命を変えた。


「学園の中庭に怨霊ゴースト系の魔物がいきなり現れてさぁ。私達も危なかったんだけど、その時に助けてくれた人がいてね!!」

ミヅキが興奮気味に話し始めた。

三人を助けたのは、偶然学園に訪れていた冒険者の男だったらしい。三人はその冒険者に憧れ、数ヶ月学園の中庭で修行をし、遂に冒険者になったのだそうだ。

それから三人は北上して、様々な地域を旅し、そして学園に戻ってきた。それが三年前だという。


「そう言えばエイハブ山脈、発展してるらしいな。」


アキオが思い出したかのように話題を変えてきた。


「私達が訪れた時は本当に未整備の地域だったのにねぇ。」


ミヅキも同意する。


「この前行った時は山小屋出来てたぞ。」

「え?そうなの?」


山小屋と共に脳裏にローブの男が浮かぶ。俺は思わず顔をしかめた。


「どうした?」

「いや、なんでもない……」


俺は慌てて誤魔化した。

それからしばらく三人の旅の記録を聞きながら、それに加えて雑談を交わしていくと、時間はあっという間に過ぎていった。


「そろそろ時間かな。」


リゼが呟いた。


「今日はこれくらいにして、また別の日に集まらない?」


ミヅキの提案に対して、俺は少し考えてから答えた。


「……そうだな。一応俺達はまだ学園に滞在する身だし、今は会えて話ができただけでも良しとするか。」

「うん!!そうしよう!!」


本当はまだ聞きたいことは沢山あるのだが、あまり長居すると迷惑をかけてしまうだろう。教室を出ると、既に夕陽が差し込んでいた。廊下には生徒の姿はなく、静寂に包まれている。

だが俺はこの時、ある影が学園を徘徊していることに気が付いていなかった。


――――――――――――――――――――――――――

「ここがゼーラント王国かァ……グヘヘッ……」


美しい水の都市……だがその水路を流れる水は下水道を経由し大陸の南端のとある場所まで繋がっている。それはつまり


「……それにしても旦那が俺一人に任せるなんて珍しいこともあるもんだなァ。」


男はそう言って肩をすくめる。荒くれの男は、今まさに王国の闇へと足を踏み入れようとしていた。


「まあでも……面白ェ仕事になりそうだな。」


その言葉とは裏腹に男の表情は真剣そのものだった。男は懐から黒い結晶を取り出すと、学園の方向に結晶を放り投げた。すると結晶がまるで愛する者に駆け寄るように飛んでいき、やがて見えなくなっていった。


「旦那が言うには古代の怨霊の弱体化を解く結晶らしいが……本当かねェ……」


男は不敵な笑みを浮かべると、再び下水道の闇の中へ消えていった。


――――――――――――――――――――――――――

現在のステータス

生命力:B

魔 力:C

体 力:C


攻撃力:B

防御力:C

魔力攻:D

魔力防:D

走 力:B


現在使用可能なスキル

●身体、精神、霊魂に影響するスキル

『旋律』音や歌声を響かせ、自分や他者に影響を与えるスキル。

『鑑定』情報を調べ、表示するスキル。※現在表示できる情報は全情報の10分の1である。

『簡易演算(レベル1)』簡単な計算を解きやすくし、記憶力や思考力を高める。

『仮説組立(レベル2)』考察によって生まれた仮説を組み合わせて信憑性がある考えを導き出す、また記憶力や思考力を高める。

『解読』文や言語を理解するスキル。

『敵意感知』近くにいる人族や魔物の敵意を感知するスキル。

『熱感知』目視可能な範囲の温度変化を感知するスキル。

『多重加速(レベル2)』加速を重ねることにより、更に速度を上昇させるスキル。

『大蛇の育成者』タイタンの幼体を育てる者、レベルアップ時にタイタンのスキルを獲得することがある


●技術

『解体技術』解体の技術を高めるスキル。対象はモノだけではない。

『加工技術』加工の技術を高めるスキル。

『貫槍技術』貫通に特化した槍の技術を高める。

『斬槍技術』斬撃に特化した槍の技術を高める。


●耐性

『寒冷耐性(レベル4)』寒さを和らげて、活動しやすくする。

『苦痛耐性(レベル4)』痛みを和らげて、活動しやすくする。

『毒耐性(レベル1)』毒を弱体化させて、活動しやすくする。

『爆音耐性(レベル2)』爆音を和らげて、活動しやすくする。

『風圧耐性(レベル1)』風や衝撃に対するダメージを和らげて、活動しやすくする。


●魔法

『火魔法(レベル3)』火を操る魔法。

『水魔法(レベル1)』水を操る魔法。

『風魔法(レベル1)』風を操る魔法。

『時魔法(レベル1)』時を操る魔法。

『生活魔法』モノを綺麗にしたり、簡易的な回復を行う。


●加護

『死者の加護』死した者から生きる者に与えられる加護。

『象兵の加護』ヤコバクから異種族に与えられる加護。

『大蛇の加護』タイタンから異種族に与えられる加護。


現在の持ち物

銀の槍(緑王):ヴィクター・アガレスの槍。オークロードの額にあった宝石の欠片で強化し緑王という名前が刻まれた。

冒険者カード:名前、性別、年齢が書かれたカード。特殊な魔法道具が使われているため個人を特定できる。

毛布:ハウンドの皮をつなぎ合わせた物。粗末だが、トモヤがこの世界で初めて作ったもの。

黄色の水晶:エレノアからのプレゼント。微かにオーラを感じる。

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