再会と戯言

【耐性貫通、無効貫通︰自身に悪影響を及ぼすものを弱体化させるスキルである耐性。その進化スキルである無効。それらを貫通し悪影響をもたらすスキルや環境の総称。】


「トモヤ君!!」


夜間の護衛をこなしながら、数日が過ぎた頃。突然、俺の部屋にやってきたのはリゼだった。


「リゼ?どうしたんだ?」

「この学園にもいたの!!クラスメイトが!」

「マジか!?」

「三島君と雲雀川さん、機織さんの三人だよ!!」

「なんて言うか共通点が無い三人だな……」


その三人は俺の記憶が正しければ友達の友達程度の関係で、特に接点があるわけでは無かったと思う。


「三人とも同じタイミングでこの学園の中庭に飛ばされたらしいの。それで一緒に行動してたんだけど……」

「……それって大丈夫なのか?それって学園側は三人が日本から転移して来たことを把握してることにならないか?」

「ううん。三人は学長の息子さん、副学長さんに拾われて保護されてたみたい。だから学園側は把握していないはずよ。」

「そっか……」


なんにせよ、久しぶりに同郷の仲間と会うことができるのは素直に嬉しかった。それにしても三島暁雄みしまあきお雲雀川ひばりがわ美月みづき機織藍利はたおりあいりの三人が同時に同じ場所にいたとは……これも何かの縁だろうか?俺はガリア平原、リゼはプロイツ王国、リュウジはエイハブ山脈と、全くバラバラの場所に転移していたからな。


「……でもちょっと気になることがあるの。」

「ん?何がだ?」


リゼは神妙そうな表情を浮かべた。リゼの話によると、三人ともこの世界に来てから数年が経過しているらしい。


「……俺が転移してから多くても二ヶ月しか経ってないはずなんだが……」


俺がそう呟くと、リゼも同意するように首を縦に振った。


「うん。私もそれくらいだと思う。」

「……?」


だとしたら最悪だ。場所だけでも絶望的なのに、時間までもズレていたらクラス全員が合流できる可能性は壊滅的と言ってもいいだろう。


「とりあえず三人に会ってみなきゃ分からないな。」

「うん。そうだね。」


それからしばらく会話した後、俺はリザンテを連れてリゼの案内の元、三人がいるという教室に向かった。


「相変わらずどこの教室も広いな……そして綺麗だ。」

「大学とかと同じで清掃員さんが毎日掃除してくれてるらしいね。」

「なるほど……」


俺は感心しながら廊下を歩いていると、第三講義室と書かれた部屋を見つけた。


「ここが三人がいる教室か……」


俺はドアを開け、中に入る。するとそこには、確かに懐かしい顔ぶれの三人が座っていた。


「あ!トモヤ君だ!やっほー!」

「久しぶりだな。」

「…………」

「久しぶり。元気そうで良かった。」


俺は挨拶を交わした後、リゼと共に三人の席に近づいた。一番最初に俺に気付き、声をかけてきたのは雲雀川美月だ。お団子ヘアーが特徴で、とても明るい性格をしている。次に声を掛けてきたのは三島暁雄。柔道黒帯でガタイの良い男だ。最後に無言のままこちらを見つめているのは機織藍利。あんなに無口な奴だったか?

それにしても……やっぱり何処か大人びている気がする。雰囲気もそうだが、やはり身体つきが違う。


「……言いたいことは何となく分かるぞ?」


俺の視線に気付いたのか、アキオが苦笑いをしながら話しかけてくる。


「私達もう24歳だもんねー!」

「2、24!?」


俺は思わず大きな声で叫んでしまった。

いやだって……この世界に召喚された時は17、18歳だったはずだ。


「ってことは……三人は五年以上前からこの世界で生き抜いてきたことになるのか?」


俺の言葉に、三人はコクリと首を縦に振る。


「アイリ、喉乾いたでしょ?はいこれ!」


ミヅキは鞄の中から水筒を取り出し、藍利に差し出した。


「……アイリは転移時に喉が焼けちまった。だから喋れない。」


アキオが補足するかのように言葉を付け足す。なるほど……だからさっきから一言も発していない訳か。


「喋れないってことは……魔法が使えないんじゃないのか?」


俺の質問に対して、アイリは再びコクりと首を振る。


「でもアイリはレベル36だからそこそこ強いんだよ?」


今度はミヅキが答えた。


「……ほぼ上級冒険者だな。」


俺は驚きつつ、アイリを見る。

そもそも人族のレベルには壁があり、最初の壁が15、次が20、最後が30と言われている。壁を超えるには才能が必要だと言われており、大体の冒険者は30の壁を超えられないらしい。


「ん?そこそこ強い?ほぼ上級冒険者なのにか?どういうことだ?」


俺は疑問を口にした。


「上級冒険者でも死ぬ時は死ぬよ?それはリゼちゃんも知ってるでしょ?」


リゼはドラゴンキラーと呼ばれる出来事を思い出したのか、少し顔を青ざめさせながら小さくうなずいた。


「二人もそれくらいのレベルなの?」


リゼの問に対して、二人は冒険者カードを見せてくれた。


3941……え?嘘でしょ?」


「本当だよ。これでも大陸の主要地域は全部周ったんだ。」

「えっへん!!凄いでしょ!!」

「ってことはガリア平原にも……」

「うん。行ったよ!あの時は大変だったよね。」

「ああ。この大陸で危険地域なのはあそこで間違いないな。」

「……初期地点が大陸一危険な氷原とか……」

「まさかトモヤ君?」

「そのまさかだ。」


三人は「まじかよ……」といった表情を浮かべていた。


「だってあそこ寒冷耐性を余裕で貫通する環境寒さなんだよ。しかも長時間滞在すると寒冷無効も効果しなくなるし。」

「まじで何で生きてたんだよ……俺……」


俺はそう言って頭を抱える。


……」


――――――――――――――――――――――――――

現在のステータス

生命力:B

魔 力:C

体 力:C


攻撃力:B

防御力:C

魔力攻:D

魔力防:D

走 力:B


現在使用可能なスキル

●身体、精神、霊魂に影響するスキル

『旋律』音や歌声を響かせ、自分や他者に影響を与えるスキル。

『鑑定』情報を調べ、表示するスキル。※現在表示できる情報は全情報の10分の1である。

『簡易演算(レベル1)』簡単な計算を解きやすくし、記憶力や思考力を高める。

『仮説組立(レベル2)』考察によって生まれた仮説を組み合わせて信憑性がある考えを導き出す、また記憶力や思考力を高める。

『解読』文や言語を理解するスキル。

『敵意感知』近くにいる人族や魔物の敵意を感知するスキル。

『熱感知』目視可能な範囲の温度変化を感知するスキル。

『多重加速(レベル2)』加速を重ねることにより、更に速度を上昇させるスキル。

『大蛇の育成者』タイタンの幼体を育てる者、レベルアップ時にタイタンのスキルを獲得することがある


●技術

『解体技術』解体の技術を高めるスキル。対象はモノだけではない。

『加工技術』加工の技術を高めるスキル。

『貫槍技術』貫通に特化した槍の技術を高める。

『斬槍技術』斬撃に特化した槍の技術を高める。


●耐性

『寒冷耐性(レベル4)』寒さを和らげて、活動しやすくする。

『苦痛耐性(レベル4)』痛みを和らげて、活動しやすくする。

『毒耐性(レベル1)』毒を弱体化させて、活動しやすくする。

『爆音耐性(レベル2)』爆音を和らげて、活動しやすくする。

『風圧耐性(レベル1)』風や衝撃に対するダメージを和らげて、活動しやすくする。


●魔法

『火魔法(レベル3)』火を操る魔法。

『水魔法(レベル1)』水を操る魔法。

『風魔法(レベル1)』風を操る魔法。

『時魔法(レベル1)』時を操る魔法。

『生活魔法』モノを綺麗にしたり、簡易的な回復を行う。


●加護

『死者の加護』死した者から生きる者に与えられる加護。

『象兵の加護』ヤコバクから異種族に与えられる加護。

『大蛇の加護』タイタンから異種族に与えられる加護。


現在の持ち物

銀の槍(緑王):ヴィクター・アガレスの槍。オークロードの額にあった宝石の欠片で強化し緑王という名前が刻まれた。

冒険者カード:名前、性別、年齢が書かれたカード。特殊な魔法道具が使われているため個人を特定できる。

毛布:ハウンドの皮をつなぎ合わせた物。粗末だが、トモヤがこの世界で初めて作ったもの。

黄色の水晶:エレノアからのプレゼント。微かにオーラを感じる。

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