アヌンナキ

【竜魔法:竜種を倒すことにより得られる特殊なスキル。竜種の力を一部再現できる。】


「んっ……朝か……」


俺は目を覚ます。テーブルの上にはリザンテが寝ていた。


「キュイ!」

「おはようリザンテ。」


俺は頭を撫でる。


「今日は休みだからゆっくりするか。」

「キュー!!」


俺達はゆっくりと過ごすことにした。


「さて、何をしようかな……あっそうだ。」


俺は引き出しから金貨や銀貨を取り出した。オークロード戦の報酬であり、一部はアベルさんに渡したが、まだ結構残っている。


「武器屋にでも行くか。」


俺はリザンテと街に出る事にした。

武器屋に着いた俺は商品の槍と今まで共に戦った槍を見ている。


「……新しいの買うより強化した方が良さそうだな。」


俺は店主に話しかけた。


「すいません、この槍の強化って出来ますか?」

「おう出来るぜ。なんか素材はあるのか?」

「えっと……これって使えますかね?」


俺はオークロードの額にあった宝石の欠片を見せた。


「こいつは……少し待っていてくれ。」


そう言うと店の奥に入っていった。暫くして店主が戻ってきた。


「悪くねぇな。いい槍に仕上がると思うぜ。」

「ありがとうございます。いくらですか?」

「金貨15枚って所だ。」

「わかりました。お願いします。」


俺がお金を渡すと槍を持って奥へ行った。


「よし、これで大丈夫だろう。」


そう言って渡された槍は、今まで使っていた物とは比べものにならない程軽くなっていた。


「そうだな名前を付けるとしたら緑王だな。」

「キュイキュイ!!」


リザンテも気に入ったようだ。俺達はその後、街の中をブラブラし、昼過ぎにアベルさんの家に戻った。


――――――――――――――――――――――――――

「では第四回アヌンナキ会議を始めます。」


イザベル・ウルザードが電車の内装を再現した様な空間で静かに宣言した。


「イェーイ!!」


イザベルが拍手するが周りは一切盛り上がらない。


「ベル……空気読んで……」


指摘したのは氷山に積もる雪の様な純白の羽を持つワタリドリ、トゥルカウダックだった。


「あの馬鹿が空気を読めないのは今に始まったことじゃない。」


黒い鎧に身を包む長身の男、バラン・ハザードが呆れたように言った。


「ふふふ……皆さんより長く生きているからと言って”馬鹿”だなんて失礼ですよ。私達に老化は無いのですから。」


丁寧な言葉使いだが、目つきと声色は明らかに怒りの感情が見え隠れする。


「間違いじゃないだろ?この退屈馬鹿が。」


恐れること無くイザベルを罵倒するのは、夕陽の輝き様な金色の髪を靡かせているクババだった。


「……ふふふ。」

「くははははっ!!」


イザベルとクババの笑い声が電車内に響く。


「んで今回の会議の議題何なんだい?」


声を発したのは藤の花の様な紫色の髪をした老婆、イシュタムだ。


「銀のミーア・ドラゴン発見しました。」


真剣な顔付きになるイザベル。


「やっとか!!よく見つけたね!!」


羽ばたきながら喜ぶトゥルカウダック。


「それで結局のところ、そのトカゲをどうするんだい?」


質問をするイシュタム。


「勿論駆除しますけど、バランさんから一言あるようです。」

「あぁ、駆除することに文句は無い。だが我々に駆除させるのでは無く、彼等にやらせるべきだ。」

「ああ……27のね。」

「確かにあの子達に任せた方がいいかもしれないねぇ。僕達も決して暇では無いしね。」

「彼等の死因も、我々の仕事が増えたのは銀のミーア・ドラゴンの身勝手な行動が全ての原因だからな。」

「その行動を知ってて放置したのはそこでニヤついてる退屈馬鹿だけど。」

「まあまあクババも挑発しないの。それよりもベル、銀河鉄道なんて何時何処で作ったの?」


彼等が会議している場所は電車の内装を再現した様な空間では無く、現在進行で動いている電車だった。


「ふふふ……企業秘密です。」

「あ!!コンゴベアルだ!!誰だっけ?デザインしたの?」


車窓から見えるのは水晶に包まれた熊の様な魔物だった。魔物が捕食しているのは太陽と似た恒星だった。


「確かクババじゃなかったかい?」

「違うわイシュタム。バランよ。恒星を捕食する魔物あのくまをデザインしたのは。」

「あれ?コンゴベアルって龍種だっけ?」


トゥルカウダックが首を傾げた。魔物のデザインにも、ある程度担当分けがあるのだ。


「……風景画を描き始めたそこの馬鹿の代わりだ。」


バランの視線の先にはスケッチブックにペンを向けるイザベルの姿があった。会議も雑談が多くなってきた。


「そういえばクババさん。聞きたいことがあるんです。」

「珍しいじゃないイザベル。何が聞きたいの?」

「どうしてオークなんてデザインしたんですか?」


イザベルの問いにクババは少し考えると口を開いた。


「血が混ざった先に現れるのは一体どんな生物なのか気になっただけさ。」

「へぇ意外だね。そういうの気にするタイプだったんだ。」


トゥルカウダックの言葉にクババは苦笑した。


「私だって好奇心くらいあるさ。御父様の言葉もあるしね。」

「確かクババさんの部下にもオークが一体居ましたよね?あれが目的の血が混ざった果ての生物なんですか?」


イザベルが聞くとクババは少し考えた後答えた。


「いや失敗作だよ。まあだからこそ神に近い存在なんだが……」

「どういうことですか?」

「確かオークなのに全く性欲が無いんだよね?種族名はイムオークだっけ。」

「そう。オークと人族の血が混ざってはいるが機能や性能が全く違う。もはやオークじゃないね。」


イザベルは考え込む様に車窓を眺めた。


「イザベル、そろそろ着くぞ。」

「解りました。では皆さん、また次回の会議で。」

「うん。じゃあみんなまたねぇ。」


電車が止まり、トゥルカウダックは窓から宇宙空間に飛び去って行った。


「相変わらず奴は自由だな……」


バランは発言の後に軽く息を吐くと、席から立ち上がり開いた電車の扉から無重力空間へと出て行った。


「まあ、ワタリドリの神だし今更ね。」


クババは空間魔法でその場を後にした。


「さてと儂も行くかな。」


イシュタムは突如現れた鏡の中に吸い込まれていくとその姿は電車から消えるのだった。その場に手の平サイズの紅い果実を残して。


「ヤシュチェの実、私は苦手なんですが……イシュタムさん、地味にやってくれますね……」


イザベルは不満げに呟いた。そしてイザベルが電車から降りると、銀河を駆ける車両は何処かに向かうのだった。


アヌンナキ、


――――――――――――――――――――――――――

現在のステータス

生命力:B

魔 力:C

体 力:C


攻撃力:B

防御力:C

魔力攻:D

魔力防:D

走 力:B


現在使用可能なスキル

●身体、精神、霊魂に影響するスキル

『旋律』音や歌声を響かせ、自分や他者に影響を与えるスキル。

『鑑定』情報を調べ、表示するスキル。※現在表示できる情報は全情報の10分の1である。

『簡易演算(レベル1)』簡単な計算を解きやすくし、記憶力や思考力を高める。

『仮説組立(レベル2)』考察によって生まれた仮説を組み合わせて信憑性がある考えを導き出す、また記憶力や思考力を高める。

『解読』文や言語を理解するスキル。

『敵意感知』近くにいる人族や魔物の敵意を感知するスキル。

『加速(レベル3)』身体の速度を上昇させるスキル。

『大蛇の育成者』タイタンの幼体を育てる者、レベルアップ時にタイタンのスキルを獲得することがある


●技術

『解体技術』解体の技術を高めるスキル。対象はモノだけではない。

『加工技術』加工の技術を高めるスキル。

『貫槍技術』貫通に特化した槍の技術を高める。

『斬槍技術』斬撃に特化した槍の技術を高める。


●耐性

『寒冷耐性(レベル4)』寒さを和らげて、活動しやすくする。

『苦痛耐性(レベル4)』痛みを和らげて、活動しやすくする。

『毒耐性(レベル1)』毒を弱体化させて、活動しやすくする。

『爆音耐性(レベル2)』音のダメージを和らげて、活動しやすくする。


●魔法

『火魔法(レベル3)』火を操る魔法。

『水魔法(レベル1)』水を操る魔法。

『風魔法(レベル1)』風を操る魔法。

『生活魔法』モノを綺麗にしたり、簡易的な回復を行う。


●加護

『死者の加護』死した者から生きる者に与えられる加護。

『象兵の加護』ヤコバクから異種族に与えられる加護。

『大蛇の加護』タイタンから異種族に与えられる加護。


現在の持ち物

銀の槍(緑王):ヴィクター・アガレスの槍。オークロードの額にあった宝石の欠片で強化し緑王という名前が刻まれた。

冒険者カード:名前、性別、年齢が書かれたカード。特殊な魔法道具が使われているため個人を特定できる。

毛布:ハウンドの皮をつなぎ合わせた物。粗末だが、トモヤがこの世界で初めて作ったもの。

黄色の水晶:エレノアからのプレゼント。微かにオーラを感じる。

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