君と共に
【魔物の種類:主に獣型と人型に別けられる。獣型に代表されるのはハウンドやタイタン、人型に代表されるのはリザードマンやオーク、また
次の日、俺は再びガリア平原に来ていた。目的は勿論昨日の続きだ。
「グルルルルッ……」
するとすぐにハウンドが現れた。今日は五体ではなく十体の群れだった。俺は槍を構えた。ハウンド達は俺を囲むようにして近づいてきた。
「流石にちょっと多いな……」
「よし……いくぞっ!」
俺は走り出した。そして一振りで二体を斬り殺した。すると……
「グギャアアア!!」
この鳴き声は……
《熟練度が一定に達しました。スキル『爆音耐性(レベル1)』が『爆音耐性(レベル2)』に上昇しました。》
八体もいたハウンドは針葉樹林の奥から現れたタイタンに飲み込まれて全滅してしまった。
「またお前かよ……」
タイタンがこちらに向かって来る。何故かタイタンは興奮している。血管が浮き出ているのがこの距離でも見える。突然タイタンが雄叫びをあげた。
「うおっ!?」
タイタンが身体を地面を叩きつけると、そこから地割れが発生した。俺は間一髪で避けることができたが、後ろにあった木々は倒れてしまった。
「……マジかよ。」
今の衝撃で積もっていた雪が舞う。ただでさえ吹雪で視界が悪いのに、更に悪くなってしまった。俺は一旦距離をとることにした。
「グルアァ!!」
しかしそれを見逃す筈もなくタイタンは俺を睨み、そして突進してきた。タイタンの毒は言うまでもなく脅威だ、噛まれる訳にはいかない。
「くそっ!やっぱり速いな……」
だが俺だって負けてはいない。槍を巧みに使って攻撃をいなしていく。
「グルルッ……」
しかしタイタンはこの吹雪の中で着実に攻撃を当ててくる……確か蛇にはピット器官という熱感知する器官があるんだったな。それを使えば目視じゃなくても大体の位置はわかるのかもしれない。
「厄介だな。」
「ガルアァ!!」
それに鳴き声が大きすぎる……爆音耐性がなかれば鼓膜が破れていたところだ。俺は槍を構えて、加速を発動した。斬る、貫く、薙ぎ払う、突く、吹き飛ばす。様々な技を駆使して鱗を剥ぎ、肉を割いた。
「グギャ……」
タイタンは弱っていたのか、連撃には耐えられず最期は弱々しく鳴いて倒れていった。
《熟練度が一定に達しました。個体名‘’トモヤ・ハガヤ‘’がレベル6になりました。》
《身体の損傷を再生します。》
《基礎戦闘力が上昇しました。》
《スキルポイントを入手しました。》
最近はレベルが上がりやすいと感じた。俺も慣れてきて、戦闘に余裕が出てきたということだろうか? しかしまだ気になることがある。タイタンが興奮していた理由だ。鑑定発動。
《タイタンの生態︰産卵期はメスのタイタンは興奮状態であることが多い。またタイタンの幼体は手なずけることができる。》
なんとなく分かってきた。恐らくこのタイタンはメスだ。つまり近くに卵もしくは子供がいる可能性が高い。もし子供がいたとしても俺は敵意感知しか持っていないから、どこら辺にいるのか全くわからない。でもこの吹雪の中、近くにいるのは間違いないはずだ。俺は警戒しながら探索を始めた。まずはタイタンが通ったであろう道を進むことにした。
するとピシッ!と小さい音が聞こえた。
「まさか……」
俺は急いで音のした方に向かった。すると直径20メートルくらいの穴を発見することができた。中を確認するためにロープを垂らし、俺は穴の中に入っていった。
そこには深緑色の苔に覆われた縞模様の球体があった。大きさはバスケットボールと同じくらいだろう。恐る恐る触れてみた。
ピシィ!と先程聞こえた割れるような音を立てて殻が開いた。その中には小さな白い蛇がいた。全長は5センチほどだろう。これがタイタンの子供か……これが
「キュイ!!」
「癒し系だな……」
俺はタイタンの子供をすくい上げた。
「キュイ?」
首を傾げながら俺の顔を見る。とても可愛いかった。その時、後ろから羽ばたくような音が聞こえてきた。俺は咄嵯に後ろに飛んだ。
そこにいたのは、体長10メートルの大きな鳥のような魔物だった。
《キョウム︰鳥型の魔物である。嘴が鋭く、獲物を狩ることに長けている。》
こいつタイタンの子供を狙いに来たのか……
するとキョウムは俺に狙いを定めて急降下してきた。
「風刃!!」
風魔法レベル1で使用できる魔法だ。風の刃が飛んでいき、キョウムの翼を切り裂いた。地面に落ちたキョウムにとどめを刺そうとした時、タイタンの子供が俺の腕の中から飛び出していった。そして俺の代わりにとどめを刺した。キョウムも弱っていたのか簡単に死亡した。
「キュイ!キュイ!」
どうやら俺を親だと勘違いしたようだ。俺はタイタンの子供の頭を撫でてから外に出た。そして街に帰ることにした。
――――――――――――――――――――――――――
「……それはタイタンの幼体だな。手なずけたのか?」
鉄鎧の門番が言った。
「ダメですかね。街に入れるのは?」
「いやしっかりと手なずけておけば問題はないだろう。」
「そもそも幼体のタイタンなんて弱毒しか取り柄がないぞ。」
皮装備の門番が言う。
どうやら問題はないみたいだ。俺はタイタンの子供を連れてアベルさんの家に帰った。
「何この子!!可愛い!!」
「キュイ?」
アリシアはタイタンの子供を撫でた。子供も嫌がっていない。
その後、子供の名前はリザンテと名付けた。
≪熟練度が一定に達しました。スキル『大蛇の育成者』を獲得しました。≫
≪熟練度が一定に達しました。スキル『大蛇の加護』を獲得しました。≫
――――――――――――――――――――――――――
「トモヤ・ハガヤはタイタンの幼体を見つけたか……」
バランが空間に投影された映像を見ながら呟く。
「ふふふ……確かタイタン幼体の発見は非常に確率が低いことで有名でしたね。」
イザベルが微笑みながら言った。
「タイタンに殺されかけたというのに、よく手懐ける気になったものだ。」
「そうですね。」
イザベルは適当に返事を返す。
「話を変えるようですが、オークをデザイン担当は誰でしたっけ?」
「ダックかクババのどちらかだったはずだ。奴等は人型魔物のデザインが得意だからな。」
「大方、性格の悪いクババでしょうね……」
「誰が性格悪いって?」
「ひゃう!!」
そこに現れたのは自分の金髪を撫でながらニヤリと笑う美女だった。美女の名はクババ、突如として現れたクババに驚きの声を上げるイザベル。
「まあいいわ。それよりもミーア・ドラゴンよ。あのトカゲ共、ちょっと近づいただけなのに攻撃してきたわ。脳のデザイン変えていい?」
「それはやめておけ。ただでさえミーア達はお前のことが嫌いだからな。」
バランが冷静に答える。
「そもそも近づくから攻撃されるんじゃないですか?」
イザベルは呆れたながらに答えた。
「ところで銀のミーアは?どこにもいないわよ。」
「奴は未だに見つからん。空間魔法でいつ攻撃されてもおかしくない。クババ、お前も気をつけろ。」
「私がトカゲにやられるとでも?」
「まあ無理でしょうね。だから銀トカゲも隠れて姿を現さないのでは?」
「蜥蜴蜥蜴と言ってやるな。あれでもこの宇宙と共に生まれた最古の龍だ。」
バランがクババに注意する。
「はいはい
クババは転移していった。
「私達も調査を再開しましょう。」
イザベルとバランも空間から消えた。
――――――――――――――――――――――――――
現在のステータス
生命力:C
魔 力:C
体 力:C
攻撃力:C
防御力:C
魔力攻:D
魔力防:D
走 力:C
現在使用可能なスキル
●身体、精神、霊魂に影響するスキル
『旋律』音や歌声を響かせ、自分や他者に影響を与えるスキル。
『鑑定』情報を調べ、表示するスキル。※現在表示できる情報は全情報の10分の1である。
『簡易演算(レベル1)』簡単な計算を解きやすくし、記憶力や思考力を高める。
『仮説組立(レベル1)』考察によって生まれた仮説を組み合わせて信憑性がある考えを導き出す、また記憶力や思考力を高める。
『解読』文や言語を理解するスキル。
『敵意感知』近くにいる人族や魔物の敵意を感知するスキル。
『加速(レベル3)』身体の速度を上昇させるスキル。
『大蛇の育成者』タイタンの幼体を育てる者、レベルアップ時にタイタンのスキルを獲得することがある←new
●技術
『解体技術』解体の技術を高めるスキル。対象はモノだけではない。
『加工技術』加工の技術を高めるスキル。
『貫槍技術』貫通に特化した槍の技術を高める。
『斬槍技術』斬撃に特化した槍の技術を高める。
●耐性
『寒冷耐性(レベル4)』寒さを和らげて、活動しやすくする。
『苦痛耐性(レベル4)』痛みを和らげて、活動しやすくする。
『毒耐性(レベル1)』毒を弱体化させて、活動しやすくする。
『爆音耐性(レベル2)』音のダメージを和らげて、活動しやすくする。
●魔法
『火魔法(レベル3)』火を操る魔法。
『水魔法(レベル1)』水を操る魔法。
『風魔法(レベル1)』風を操る魔法。
『生活魔法』モノを綺麗にしたり、簡易的な回復を行う。
●加護
『死者の加護』死した者から生きる者に与えられる加護。
『象兵の加護』ヤコバクから異種族に与えられる加護。
『大蛇の加護』タイタンから異種族に与えられる加護。←new
現在の持ち物
銀の槍(無名):ヴィクター・アガレスが使っていた槍。
冒険者カード:名前、性別、年齢が書かれたカード。特殊な魔法道具が使われているため個人を特定できる。
毛布:ハウンドの皮をつなぎ合わせた物。粗末だが、トモヤがこの世界で初めて作ったもの。
黄色の水晶:エレノアからのプレゼント。微かにオーラを感じる。
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