会議は時として踊り手を招かず
【プロイツ王国:ガリア帝国滅亡時に帝国領地から独立して生まれた国。旧帝国立魔法学校があるゼーラント王国と隣接している。】
遂にオーク対策会議が始まった。
「じゃあ始めるぞ。」
ルシエドさんがそう言うと、全員が真剣な表情になった。俺もしっかり聞いておこう。
「まずはオークの拠点だが、エイハブ山岳で間違いない。」
「ギルドの探索班は優秀だねぇ。」
弓を持った男性冒険者が言う。
「既に周辺地域は地獄絵図だな、魔物の死体や攫われた女子供の死体が多数発見されている。」
「うへぇ……」
杖を持った女性冒険者が、惨劇を想像して顔をしかめる。
「それと、拠点の近くに多数の足跡が見つかったそうだ。恐らくオークだろう。」
「ふむ、数は?」
軍服を着た老けた男性が問う。
「500以上だそうだ……」
「おいおい……帝国が滅んだ時よりも多いんじゃないか?」
剣を持った青年が怯えた様に言う。
「オークであることが不幸中の幸いですね。」
受付嬢が言った。
「帝国で大量発生した魔物の多くは大型だったからね。それに比べて今回のオークは小型だし個体としての質は低い。」
先ほどの発言した弓を持った冒険者が言う。
「プロイツからの冒険者も今回のクエストに参加する。」
「おお!それはいい!」
「なるほど。エイハブ周辺はプロイツ王国の管轄でもあったな。」
この街以外からも援軍が来ることに喜びの声が上がる。
「入ってくれ。」
そこに入ってきたのは、フードを被った女性冒険者が1人いた。
「えっと……私がプロイツ王国の冒険者代表です。」
「え?ドラゴンキラーが増援なの?」
「マジかよ!!」
「はい。私も参加させていただきます。」
周りの冒険者達がざわついている。
「ドラゴンキラー?」
俺は疑問に思ったことを口にした。するとルシエドさんが説明してくれた。
「あの嬢ちゃんは少し前にプロイツで起きた大規模クエストの功績者だよ。確か名前は……リゼって名前だったかな?」
ん?リゼ?その名前何処かで……気になってあちら見ているとあちらも俺に気づいたのかこちらに近づいてきた。
「あっ!!倫矢君!!」
「坊主の知り合いかい?」
「やっぱり
俺がこの世界に来てから約四ヶ月、ようやくクラスの連中と遭遇したのだった。ルシエドさんも察してくれたのか会議が一時休憩となり、俺とリゼは会議室から一旦出た。
「やっとクラスの人に会えたぁ!」
「ってことは他の連中とは会えてないのか?」
「うん。みんなランダムな場所に送られてたみたいだからね。」
「なるほどな……」
「でもまさかここで会えるなんて思わなかったよ。」
リゼが満面の笑みを浮かべている。どうやら彼女はあまり変わっていないようだ。
「まぁこんな世界だしお互い生きてるだけって知れただけでも幸運だろ。」
「確かにそうだね。」
「それで今まで何してんだ?」
「私はプロイツ王国に気がついたらいて、今はそこを拠点に冒険者をやってるよ。」
「そうか、でもなんでこっちオーク討伐を引き受けたんだ?そっちの方が安全じゃないのか?」
「まあクラスメイトを探す為っていうのはあるけど、エイハブ山岳に帰る為の手段があるかもしれないんだよね。」
「えっ!?帰る方法があるのか!?」
「うん。ある地域には別世界の扉がある洞窟があって、そこを通れば元の世界に帰れるかもしれない。」
「なるほど。」
「トモヤ君今までどうだったの?」
「ああ、実は──」
俺はリゼに今までのことを全て話した。
「そんなことがあったんだ……」
「まあ生き残れたから気にしてないよ。」
「そっか、なら良かった。」
リゼと話していると後ろから声をかけられた。
「おーい!お前さん達!」
振り返るとそこにはルシエドさんがいた。
「会議を再開するからそろそろ戻ってこい!」
「分かりました!すぐ戻ります!」
そして俺達は会議室に戻った。
「俺達の戦力は申し分ない。早速だが明日にでも出発するぞ。」
「え?明日ですか?」
冒険者がルシエドさんに驚きの声をあげた。
「早い方がいいだろう。それに今頃オーク共も動き出してるはずだ。」
「オークの拠点に攻め込むんですか?」
「ああ、西の森林を迂回して山を目指す。オークの拠点がある山岳地帯はエイハブ山脈の中腹にあるらしい。」
「エイハブ山岳は洞穴が多い事で有名です。」
「ウサ子の言う通り、エイハブ山脈よりもエイハブ山岳の名前の方が通りがいいのはそれが理由だ。」
「なるほど。」
「それじゃあ明日に備えて今日は解散だ!各自準備をしておいてくれ!」
俺のリベンジも始まろうとしていた。
――――――――――――――――――――――――――
現在のステータス
生命力:C
魔 力:C
体 力:C
攻撃力:C
防御力:C
魔力攻:D
魔力防:D
走 力:C
現在使用可能なスキル
●身体、精神、霊魂に影響するスキル
『旋律』音や歌声を響かせ、自分や他者に影響を与えるスキル。
『鑑定』情報を調べ、表示するスキル。※現在表示できる情報は全情報の10分の1である。
『簡易演算(レベル1)』簡単な計算を解きやすくし、記憶力や思考力を高める。
『仮説組立(レベル1)』考察によって生まれた仮説を組み合わせて信憑性がある考えを導き出す、また記憶力や思考力を高める。
『解読』文や言語を理解するスキル。
『敵意感知』近くにいる人族や魔物の敵意を感知するスキル。
『加速(レベル3)』身体の速度を上昇させるスキル。
『大蛇の育成者』タイタンの幼体を育てる者、レベルアップ時にタイタンのスキルを獲得することがある
●技術
『解体技術』解体の技術を高めるスキル。対象はモノだけではない。
『加工技術』加工の技術を高めるスキル。
『貫槍技術』貫通に特化した槍の技術を高める。
『斬槍技術』斬撃に特化した槍の技術を高める。
●耐性
『寒冷耐性(レベル4)』寒さを和らげて、活動しやすくする。
『苦痛耐性(レベル4)』痛みを和らげて、活動しやすくする。
『毒耐性(レベル1)』毒を弱体化させて、活動しやすくする。
『爆音耐性(レベル2)』音のダメージを和らげて、活動しやすくする。
●魔法
『火魔法(レベル3)』火を操る魔法。
『水魔法(レベル1)』水を操る魔法。
『風魔法(レベル1)』風を操る魔法。
『生活魔法』モノを綺麗にしたり、簡易的な回復を行う。
●加護
『死者の加護』死した者から生きる者に与えられる加護。
『象兵の加護』ヤコバクから異種族に与えられる加護。
『大蛇の加護』タイタンから異種族に与えられる加護。
現在の持ち物
銀の槍(無名):ヴィクター・アガレスが使っていた槍。
冒険者カード:名前、性別、年齢が書かれたカード。特殊な魔法道具が使われているため個人を特定できる。
毛布:ハウンドの皮をつなぎ合わせた物。粗末だが、トモヤがこの世界で初めて作ったもの。
黄色の水晶:エレノアからのプレゼント。微かにオーラを感じる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます